ヒット曲「ありがとう」などで知られる人気グループ「いきものがかり」が5日、活動休止すると発表した。所属事務所によると、メンバー3人がソロ活動に力を入れることなどが主な理由で、休止期間は未定。昨年、メジャーデビュー10周年を迎えていた。3人は公式ホームページにメッセージも掲載した。

 公式サイトには「いきものがかり放牧宣言」と題した3人のメッセージが記された。牛の着ぐるみを着て牧場に立つユーモラスな画像とともに「10年間、3人で一生懸命頑張ってきたので、ここらで一度、メンバーそれぞれ、自由になってみようと思います」と休止の理由をつづった。

 休止期間中の過ごし方にも触れている。「好きなことをやってみたり、新しいことをはじめてみたり、ぼーっとゆっくりしてみたり、行ってみたかったところへ旅に出てみたり」としており、それぞれ充電のための時間としても活用する。

 さらに「それぞれの未来を、もっと広げるために。3人の物語を、もっと長く、もっと楽しく、続けるために。いきものがかり放牧宣言。いきものがかりは3人が帰って来る場所です。またみなさん笑顔で、会いましょう!」としており、休止期間は未定だが、グループとして活動再開することを念頭に置いた決断であることを示唆し、解散は否定している。

 06年にメジャーデビューした。聴く人を前向きな気持ちにさせる歌詞や、ボーカル吉岡聖恵(32)のストレートな歌声などが多くのファンに支持された。昨年デビュー10周年を迎え、記念の野外公演も行った。所属事務所は休止理由を「リフレッシュのためです。10周年を機に、次へのステップとしてグループの枠を超え、思い思いに各自の時間を過ごしていくことで、新たな成長を手にしようとしています」と説明。昨年末のNHK紅白歌合戦のリハーサルで、リーダー水野良樹(34)は10周年を「自分たちにとっては大きな区切り」と話していた。

 今後のソロ活動の予定などは所属事務所を通じて随時発表していく。関係者は「あくまで前向きな活動休止。休止期間は、10年、20年という単位のものではないと思います」と話した。

 ◆いきものがかり ギター水野良樹(みずの・よしき=34)ボーカルとタンバリン吉岡聖恵(よしおか・きよえ=32)ギターとハーモニカ山下穂尊(やました・ほたか)の3人組。小学生時代からの同級生だった水野と山下が99年2月にバンドを結成。同11月に吉岡が加入。バンド名は水野と山下が小学生時代に「生き物係」だったことに由来。小田急線の本厚木駅や海老名駅の周辺で路上ライブを重ね、大学受験などに伴う活動休止をへて03年にインディーズデビュー。

<いきものがかりの歩み>

 ▼06年3月 シングル「SAKURA」でメジャーデビュー。

 ▼同11月 初の全国ツアー開催。

 ▼07年3月 初アルバム「桜咲く街物語」発表。

 ▼08年12月 NHK紅白歌合戦初出場。

 ▼09年12月 「YELL」が日本レコード大賞優秀作品賞。

 ▼10年3月 47都道府県ツアーをスタート。

 ▼同5月 NHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」主題歌「ありがとう」が発売されて大ヒット。

 ▼同11月 初ベストアルバム発表。初の全国アリーナツアー開幕。

 ▼11年7月 横浜スタジアムで単独ライブ。2日間で6万人動員。

 ▼12年7月 NHKロンドン五輪テーマ曲「風が吹いている」発表。

 ▼同12月 紅白歌合戦で初の紅組トリ。

 ▼15年3月 全国ツアー開幕。合計25万人を動員。

 ▼16年10月 10周年を記念して地元の神奈川・厚木と海老名で野外スタジアム公演。