先日、結婚ニュースを取材するために、女優藤沢恵麻さん(34)をインタビューしました。

 実は、8年前にも取材経験があり、久々の再会でした。「ご結婚おめでとうございます」と伝えると、「あの時には、こんな日が来るなんて、夢にも思っていませんでした。わざわざありがとうございます」と笑顔で返してくれました。

 お相手は3歳年上の上智大のテニスサークルの先輩です。芸能界デビューする前の藤沢さんが、四国から上京したばかりの上智大1年の春。入ったテニスサークルで、いろいろと教えてくれた先輩でした。

 藤沢さんは「優しい人だなぁ」と好印象は持ったそうですが、すぐその秋に女性誌「non-no」モデルオーディションでグランプリに輝き、芸能界デビューとなります。仕事と学業で忙しくなり、サークル活動はできなくなったそうです。

 それでも男性は、藤沢さんの誕生日など、折に触れて、メールを送ってくれていたそうです。おそらく男性は、藤沢さんにぞっこんだったのですね。

 やがて藤沢さんは、NHK連続テレビ小説のヒロインで女優になり、20代後半には仕事を休業して、ロサンゼルスに語学留学に行きます。それでも、サラリーマンになっていた男性は、仕事の都合で米国に行った際に、ロスまで藤沢さんに会いに行ったそうです。

 帰国後も先輩と後輩として、藤沢さんが敬語を使う距離感で、たまに食事ぐらいはしていたそうですが、ようやく愛の告白を受けたのは3年前。藤沢さんが31歳の夏でした。藤沢さんは「交際するなら結婚を考えなきゃ」と回答を保留。2年も待たせた末に、交際OKの返事をしました。その2年間も、たまに食事に行くだけの関係だったそうです。

 まさに、男性の粘り勝ち。一途に待ち続けた誠意が実ったわけです。同じ男性として、拍手を送りたい気持ちになりました。

 「交際を始めて、一番変わったことは?」と尋ねると、藤沢さんは恥ずかしそうに「敬語を使わなくなりました」と教えてくれました。何だか、皇室のさわやか交際の取材をしているかのような、内容でした。

 同じ芸能界では、いや政界や一般社会でも、ゲス不倫だ、ドラッグ関係だ、2股交際、三角関係…と、ひどい男女問題ばかりが、はびこる中、「何て清くまっすぐな熱愛・結婚なんだ」と、正反対の意味で驚きました。取材結果を報告した上司のデスクなんかは、「それ全部ウソじゃないの?」と、笑いながら信じてくれないほどでした。

 ただ、驚きながらも、私は、藤沢さんはそういう女性だと、8年前の初対面時から知っていました。

 8年前。私が別仕事でロスへ海外出張に出た時、藤沢さんの事務所社長から、「休業しているウチの恵麻にも会ってきてよ。半年後ぐらいに帰国して復帰するから、そのインタビューでもどうかしら?」と、もちかけられていました。私は、藤沢さんと連絡を取り合い、ロスのビーチ沿いのレストランで会いました。仲介の女性と3人で、夕陽が沈む最高のロケーションの中、約4時間も会話をしました。もはや、取材を超えて、お互いの人生観や私生活の悩みや喜びなどを、たくさん話しました。初対面の人と、あんなに話し込むなんてなかなかありえないと、今でも思います。

 正真正銘の箱入り娘のお嬢さまタイプの、品のある藤沢さん。恥ずかしながら、品があるとはいえず、がさつな私だったのに、なぜか波長が合ったのでした。せんえつながら、会話中に、藤沢さんが「本当に楽しい出会いです」と、うれし涙を流してくれました。私は、当時結婚したばかりの妻に、藤沢さんのことを「とんでもなくピュアな女優さんに会った。芸能人とは思えないほど、誠実な人だった」と報告したことも、覚えています。

 藤沢さんは、ガツガツ仕事をこなすタイプではなく、マイペースに仕事をしている女優です。それがいいとか悪いとかではありません。ただ、いつ会っても、常に心の余裕を持たれている人です。きっと、これからの結婚生活も、男性と温かく穏やかなリズムで刻んでいかれるのだろうと、想像できます。久々に目の当たりにした、心から祝福できる結婚に、こちらの心まで洗われました。