女優斉藤由貴(51)が、医師との不倫を認めた。不倫疑惑騒動はこれで3度目だ。91年が歌手の故尾崎豊さん、93年はタレント川崎麻世(54)。いずれも相手は既婚者だったが、斉藤自身は独身だった。

 今回は相手も斉藤も既婚のダブル不倫だから、家族、仕事への影響の大きさは比ではない。10年くらい前の斉藤は、おばちゃん役をやるようになっていて、アイドル女優時代を知っている身としては勝手に悲しがったりしていたが、ここ数年は見違えるほど美しくなっていた。

 昨年4月に沖縄国際映画祭にゲストで登場した時は、あまりの美しさに「子育ても一段落して、家庭が幸せなんだな」と勝手に納得していたのだが、医師との不倫の影響があったのか、なかったのか…。

 93年の時は、謝罪会見をする麻世を、会場横から鬼の形相でにらむ嫁のカイヤ(55)の姿に注目が集まった。90年に芝公園で行った挙式を取材していただけに「あのきれいな嫁さんが、こんなに怖くなっちゃったんだ」と思ったが、その後の麻世・カイヤ夫妻の、お互いに浮気し合う不思議な結婚生活を暗示していたのかもしれない。

 それより、斉藤で忘れられないのは、92年4月、尾崎さんが急死した時だ。急死が報じられた時、斉藤は東京・六本木のテレビ朝日放送センターで主演の同局系連続ドラマ「女事件記者立花圭子」のリハーサルを行っていた。今は六本木ヒルズのきれいなビルが建っているが、当時のテレビ朝日はド派手なペイントの社屋。その後ろにスタジオがあって、ジャニーズの追っかけの女の子たちが裏門に張り付いて待っていた。

 尾崎さんの訃報が届き、リハーサルは中止。尾崎さんの死を知らされると、斉藤は泣き崩れたという。記者は当時、昼ごろからリハーサル室の前に張りついた。2時間、3時間、4時間と時間がすぎた。斉藤の姿は見えない。4時間以上たってから、マネジャーが、報道陣を相手に事情説明の会見をした。マネジャーの会見には多分、先輩記者が行ってくれたはずだ。その最中に、リハーサル室の入り口にワゴン車が張り付いた。入り口とドアの開けられたワゴン車の距離は80センチほどだった。

 みんな緊張した。いつ、斉藤が飛び出してくるか分からない。テレビクルーはカメラを回しっ放しにしておけばいいが、新聞、雑誌のスチールは、そうはいかない。記者と一緒に張り付いたのは、先輩のSカメラマン。当時はF1を担当していて、ちょうど海外出張から帰ってきたところを駆り出されていた。

 5分、10分、15分、20分…アッという間だった。記者たちの2、3メートル先の80センチをシュッと斉藤が横切った。一斉にシャッターを切るカメラマンたち。デジカメなんてない、フィルムの時代だ。その場で確認することなどできない。社に帰り、現像してからでなくては正否は分からない。どのカメラマンも、ちゃんとした写真が撮れているのか疑心暗鬼だ。記者がSカメラマンを見ると、指でOKサインを出していた。顔見知りの女性誌記者に、記者は「うちのSさんはF1撮ってるからね。時速300キロまでは大丈夫なんだよ」と話した。

 92年のF1はキヤノン・ウイリアムズ・ルノーのナイジェル・マンセルがぶっちぎりで悲願の王者獲得。前年まで4年連続でドライバーとコンストラクター(製造者=チーム)のダブルタイトルを獲得していたマールボロ・マクラーレン・ホンダは、この年限りでホンダがF1から撤退。そして今、2017年、マクラーレンとホンダは今季限りで提携関係を解消すると発表した。

 歴史は繰り返す、二度あることは三度ある、と思い出させてくれた斉藤由貴の不倫騒動だった。