市川猿之助(41)が9日に左腕開放骨折の重傷を負い休演したスーパー歌舞伎セカンド「ワンピース」(11月25日まで、東京・新橋演舞場)が10日、尾上右近(25)が主人公ルフィを代演し、上演された。

 開演前と幕あいに、入院中の猿之助のボイスメッセージが、楽屋に一斉放送で流された。10日朝に録音されたもので「心配をかけて申し訳ない。僕は元気だよ。なるべく早く戻るからね。僕がいない間、皆で頑張って」という内容で、元気な声だったという。

 関係者によると、猿之助は11月の東京公演中に復帰したいとの希望を持っているという。通常公演とは別に、「麦わらの挑戦」と題された若手中心の公演では、猿之助は終盤に出演するシャンクス役だった。事故直後に手術を行い、今後何度か手術を行う必要があるため、治療次第となるが、復帰するならば、負担の少ないシャンクス役の可能性が高い。また、この日発表された歌舞伎座の来年1月、2月の演目には猿之助もラインアップされている。

 今回の事故は、カーテンコール途中で猿之助が花道のセリに乗って降下中、衣装の左袖が昇降装置に絡まって起きた。前日9日の警察の実況見分では、装置に異常は見つからなかったという。同公演は再演から、猿之助の衣装が前回公演よりも袖が長く、飾り羽根などが加わりボリュームが増していた。事故で衣装が使えなくなったため、この日からは前回公演のものに戻した。主催の松竹関係者は「(昇降装置は)繊細な部分なので十分気を使ってきたが、あらためて出演者、スタッフに周知した」と注意喚起したとした。