歌手舟木一夫(72)が5日、東京・中野サンプラザで芸能生活55周年「舟木一夫コンサート2017~ツアーファイナル~」初日公演を行った。

 63年6月5日、「高校三年生」で鮮烈なデビューを飾った舟木。今年1月、55周年記念シングル「みんなの旅人」の発売を機に全国ツアーを開催。この日がファイナル初日となった。

 この55年を「速かった。とにかくあっという間だった」と振り返り、「55年歌えてコンサートをできていること自体がバンザイだからね。『よくやっているな、じいさんがんばっているな』という感じだね」と笑った。

 ツアー中の9月には前立腺炎で体調を崩し、8日間の入院を余儀なくされた。「男の子なら年を取ればだれでもなるものだから、病気をしたという感覚はない」とほほ笑んだが、「九州の人には申し訳ないことをした。でも、来年の振り替え公演も決まったので、そこで55周年プログラムを特別にやります」とアピールした。

 デビュー最初の給料は月給制で5万円だった。大卒初任給が2万だった時代で、「あれはうれしかった。全額親に渡したのを覚えているよ」と話した。

 最近の芸能界について「ちょっとつまらなくなったね」と寂しそうに口を開いた。「自分がデビューしたころは上下関係や横の関係に加え、斜めの線もあったからね」と話した。また、「デビューしたての歌い手さんをマネジャーが呼び捨てにするのはどうなんだろうね。老婆心ながら」と懸念した。

 コンサートでは集まった約2200人のファンに約2時間で、代表曲「高校三年生」などメドレーを含む全23曲を披露。約18分におよぶ組曲「日本の四季~春夏秋冬」も72年のレコーディング以来45年ぶりにコンサートで歌った。同曲は幻の名曲だが本ツアーで封印を解き、コンサートでは7月の浅草公会堂に続く2度目の披露となった。「あと2、3年したら歌えなくなりそうなので今歌っておかないと」と話した。