俳優玉木宏(37)が松本清張原作のテレビ朝日系スペシャルドラマ「鬼畜」(24日午後9時放送)に主演することが2日、分かった。

 同作は57年に松本清張が実際に起きた事件を基に執筆。小さな印刷会社を営む善良で働き者の夫婦が、やがて鬼の心を持つようになる人間の浅ましさ、悲しさを描く。

 会社が軌道に乗った主人公は、愛人を囲い3人の子供をもうける。だが、事業が傾き手当が払えなくなると、愛人は子供3人を夫婦に押しつけて失踪。妻は子供を育てることを拒否。小心な主人公に悪魔の心が宿るが、子供は父親をひたすら信じ続ける。

 玉木の妻に初共演となる常盤貴子(45)、愛人を木村多江(46)が演じる。78年には故緒形拳さん主演で映画化。妻を岩下志麻、愛人を小川真由美が演じた。02年にはビートたけし主演で、日本テレビ系でドラマ化された。妻を黒木瞳、愛人を室井滋が演じた。

 玉木は「松本清張作品は人間ドラマとして魅力的。修羅を迎えた男が夫として父親として、どう転がっていくか。余白を残す芝居を心がけました」。木村と壮絶な取っ組み合いを演じたという常盤は「今の時代に『鬼畜』を制作する勇気にしびれました」、木村は「修羅場のシーンではお互いを信頼して、ぶつかり合うことができました」と話している。