昨年大みそかに放送された「第68回NHK紅白歌合戦」の第2部(午後9時)の平均視聴率が39・4%(関西地区39・6%)だったことが2日、ビデオリサーチの調べで分かった。前年の40・2%から0・8ポイント下回り、89年に2部制になって以降ではワースト3位の数字となった。第1部(午後7時15分)は35・8%(関西地区33・2%)と前年を0・7ポイント上回った。

 NHKにとっては念願だった安室奈美恵(40)と桑田佳祐(61)の出演にこぎ着け、内村光良(53)が初の総合司会を務めるなど話題の多かった紅白のはずだった。だが、第2部の数字は、89年以降では、15年の39・2%、04年の39・3%に続くワースト3位。数字が伸びなかった要因の1つに裏番組の健闘が考えられる。

 紅白は前年と比較しても内容は悪くなく、少なくとも前年を上回る数字を予想する関係者が多かった。9月に引退する安室のラスト紅白での涙。ひよっこロスという言葉も生まれた連続テレビ小説「ひよっこ」の紅白特別編の企画では、主題歌を担当した桑田も寸劇に出演し、浜口庫之助を演じ、歌うなど視聴者を楽しませる企画が目立った。総合司会の内村も温かい笑いを織り交ぜた巧みな進行ぶりを見せて健闘した。

 一方、民放の裏番組を見ると、例年と大きな違いがあった。最も例年以上に数字を伸ばしたのはテレビ東京系「第50回年忘れにっぽんの歌」(午後4時)。16年は、紅白開始前の午後7時までの放送枠で7・2%を記録していたが、17年は午後4時から午後10時まで6時間の放送枠。紅白2部と重なるのは1時間だけだが、関東地区の視聴率は8・4%と大健闘した。16年の紅白第2部の時間帯は「大みそかボクシング・スペシャル」の3・9%だけに、4・5ポイントもアップさせたことになる。

 「年忘れにっぽんの歌」は、石川さゆり、氷川きよしの紅白出演歌手のほか、山川豊、大月みやこ、加山雄三らが出演。演歌や歌謡曲中心に構成され、中高年の視聴者の高い支持を得ている。一方で、紅白は演歌歌手が年々、減少傾向にある。中高年にはなじみのない出場者や曲が多くなり、ユニット名を聞いても紅組か白組かさえ判別できないという声も聞く。現在の世帯視聴率は、M3とF3(50歳以上の男女)のボリュームが最も多く、数字を上げるには、この層への配慮をする必要がありそうだ。【中野由喜】