学園ドラマ「青春とはなんだ」の熱血教師役などで知られる俳優夏木陽介(なつき・ようすけ)さん(本名・阿久沢有=あくざわ・たもつ)が14日午前10時46分、腎細胞がんのため都内の病院で死去した。81歳だった。葬儀・告別式は、近親者のみで行う。喪主は弟博(ひろし)さん。

 所属事務所によると、夏木さんは昨年10月2日に肺炎のため入院した。同14日に退院したが、11月25日に自宅でストレッチ中、体に力が入らずに床に崩れ落ちた。翌日病院に行き、そのまま入院。29日に胸椎のがんと判明した。入院中も普通に食事ができ、見舞客に冗談を飛ばし「元気になって早く仕事をしなければ」と話すなど元気な様子だった。しかし12月27日に突然意識を失い、集中治療室に入った。その後も意識が戻らず、14日に弟ら親族に見守られて息を引き取った。

 58年に東宝に入社し、同年の映画「密告者は誰か」で主演。黒沢明監督「用心棒」や「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦」などに出演。65年の主演ドラマ「青春とはなんだ」は学園ドラマブームの先駆けとなった。三船敏郎さんの「三船プロ」に移籍後、「Gメン’75」や高倉健さんの主演映画「海へ~See you~」などで渋みのある二枚目として活躍した。

 82年に個人事務所「夏木プロダクション」を設立し、賀来千香子、西村和彦らを育てた。私生活では生涯独身を通し、スポーツマンとして知られた。85、86年にパリ-ダカール・ラリーにドライバーとして出場。87年から93年まで篠塚建次郎が所属した「チーム三菱・シチズン夏木」の監督を務めた。16年BSジャパン「高将の明言」が最後のテレビ出演。同年に三船さんのドキュメント映画「MIFUNE THE LAST SAMURAI」に出演し、今年春の公開を楽しみにしていた。