ピン芸人日本一を決める「R-1ぐらんぷり2018」決勝が3月6日、東京・台場のフジテレビで行われ、盲目のお笑い芸人・浜田祐太郎(28)が初優勝し、史上最多3795人の頂点に立った。

 全盲に近い弱視という。賞金500万円を手にし「信じられない気持ちしかない」と会心の笑顔で語った。

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 「信じられない気持ちしかない」。白杖(はくじょう)で舞台に登場、盲目の生活を笑いに変えて頂点を極めた浜田は笑顔で振り返った。吉本総合芸能学院(NSC)の同期で、昨年12月の「女芸人NO・1決定戦 THE W」を制し勢いに乗るゆりやんレトリィバァ(27)と、自身の薄毛をネタに沸かせた、おぐ(41)を破っての栄冠だった。

 浜田は芸歴5年目の漫談家。審査員の桂文枝(74)は決勝ファーストステージ、ファイナルステージともに持ち点3全てを浜田に投票した。浜田は「ずっと漫談をやってきて1人でしゃべることだけで笑わせてきた。落語も1人でしゃべって笑いをとるもの。そういう意味で6票いただいたのはありがたい」と語った。

 浜田はネタの中で「生まれつき目が悪く、左目はまったく見えず、右目も明るさが分かる程度」と説明。ただ、優勝後の会見で、ステージではハンディは感じないと明かした。舞台で「しゃべっている時に笑ってくれるのがうれしい」と明かし、今回の優勝も「視覚障害者としてではなく、漫談家として優勝できたことがうれしかった」としみじみと振り返った。

 賞金500万円の使い道について、この日の漫談では「車を買いたい」「3Dのテレビを買いたい」「メガネを買いたい」などとネタにしたが、会見では「貯金します。車は高いので買いません」と笑わせた。 

 優勝者には副賞として全国ネット冠番組のご褒美もある。浜田は「普段、漫才劇場で活動させてもらっていることが多いのですが、大阪には面白い芸人がたくさんいることを知ってもらうために、劇場でのライブを放送してもらうのも良いですね」と話した。

 また、出演したい番組を質問されると「ボケますよ」と断りつつ、「(日本テレビ系『24時間テレビ』の)24時間チャリティーマラソンに出て、武道館と逆の方向に走ったり。でも、僕が募金箱を持っていたらお金が集まると思います」とさらに笑いを誘った。

 今後の活動について「どんどん東京の全国クラスの番組で活躍したいという気持ちもありますが、現実として関西で活動して長いことやっていけたら」と意気込んだ。【上岡豊】

 ◆浜田祐太郎(はまだ・ゆうたろう)1989年(平元)9月8日、兵庫県生まれ。同県内の視覚特別支援学校で学び、12年4月に、吉本総合芸能学院(NSC)大阪に35期生として入った。翌年4月に初舞台。趣味はギター。マッサージ指圧師。171センチ。血液型O。