杉咲花(20)主演のTBS系ドラマ「花のち晴れ~花男 Next Season~」(火曜午後10時)が17日、スタートする。05年と07年に井上真央主演でドラマ化された人気漫画「花より男子」の新章として集英社「少年ジャンプ+」で連載中の、神尾葉子氏原作の同名漫画のドラマ化作品。大金持ち男子グループ「F4」が卒業して10年後の英徳学園高を舞台に新たな物語が展開される。7日に都内で行われた試写会で第1話を一足先に見た記者が、見どころを紹介する。【村上幸将】

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 「花男」を知らないと、「花のち晴れ-」は楽しめないのではないか…シリーズものの続編や新章などが始まると、どうしても、そう思いがちだが、試写では、中年の記者の間からも「面白い」、「楽しめた」という声が出た。楽しめたポイントが、幾つかある。

 <1>躍動する杉咲の表情 大きなスクリーンを、ところ狭しと駆け回る、杉咲の豊かな表情にくぎ付けになった。16年の映画「湯を沸かすほどの熱い愛」で国内各映画賞の助演女優賞を総なめ状態にするなど進境著しい杉咲が、連続ドラマ初主演となる「花のち晴れ-」でも存分に魅力を発揮している。

 杉咲演じる江戸川音は、父誠(反町隆史)が経営する「エド・クオリティ化粧品」の令嬢で、中川大志(19)演じるIT業界をリードする経営者の御曹司・馳天馬と婚約したが、父の会社が倒産して生活が一変し、オンボロなアパートで貧乏暮らしを強いられる。天馬とは18歳で結婚する約束だが、英徳学園在籍が条件だった一方、学園ではKing & Prince平野紫耀(21)演じる御曹司の神楽木晴が率いる大金持ちグループ「C5」が、学園の品位を保つことを理由に、学費や寄付金を滞納する学生を退学させる“庶民狩り”を繰り広げていた。学園では実態がばれないかとおびえ、帰宅すればコンビニでバイトする“隠れ庶民”音の、幾つもの顔を、生き生きと演じる杉咲の顔は必見だ。

 <2>「花男」を見て育った俳優陣が醸し出す作品へのリスペクトあふれる演技と、さりげない「花男」紹介

 「毎週、リアルタイムで見ていた」と口にする杉咲を筆頭に平野、中川ら俳優陣は「花男」を見て育った世代だけに、作品への理解、リスペクトの気持ちが画面からもにじみ出るようだ。平野自身、第1話を見た感想を聞かれ「本当に『花男』を見ていた時のようなキュンキュン、もどかしい、ワクワクが(心の中に湧いて)出てきた」と語っているが、コミカルなシーンの弾けっぷり含め、生き生きとした演技に引き込まれる。菊池桃子、滝藤賢一ら脇を固める親役の俳優陣も、世界観をしっかり反映した演技をしており、視聴者は世界観に入りやすいのではないか。また平野演じる晴が、「花男」に登場した大金持ち男子グループ「F4」を率いる道明寺司に憧れていることなど、世界観の説明は劇中でなされるが端的で分かりやすかった。

 <3>道明寺=松潤登場 「花男」へのリスペクトが、あふれるシーンが第1話に出てくる。晴が道明寺に憧れるきっかけとなった、幼少期の出来事の回想シーンで、道明寺を演じる嵐・松本潤(34)が出演する。平野と中川は、松本が道明寺を演じたシーンを撮影した翌日に映像をモニタで見たという。平野が「道明寺さんが現れるシーンは、本当に、うわぁ…道明寺だ! となりますよね。ずっと大志と、その話で盛り上がってました」と言えば、中川も「2人で震え上がりましたね。感動しちゃって」と熱っぽく語った。「花男」ファンであるか否かを問わず見ておきたいシーンだ。

 <4>宇多田ヒカル(35)が歌うイメージソング 宇多田が07年「花より男子2」のイメージソング「Flavor Of Life -Ballad Version-」以来2回目のタッグを組み、イメージソングを書き下ろした。全貌は第1話で明らかになるだけに、音楽ファンもチェックして損はない。

 瀬戸口克陽プロデューサーは、試写後の舞台あいさつで、観客に「第1話の試写会の映像は、まだ完成に至っておりません。お手元のアンケートを提出していただき、忌憚(きたん)のないご意見を最後の仕上げに反映したいと思っております」と呼び掛けた。試写から1週間…ブラッシュアップされた第1話は間もなく、オンエアされる。