黒柳徹子(84)が1989年から続ける「海外コメディ・シリーズ」が、今秋の主演舞台「ライオンのあとで」(9月29日~10月15日=東京・EXシアター六本木、10月中旬=大阪・森ノ宮ピロティホール)でファイナルとなることが21日、分かった。黒柳が女優として続けてきた唯一の公演で、30年で32作品を上演して、歴史に幕を閉じる。

 黒柳は同シリーズをライフワークにしていた。89年に東京の銀座セゾン劇場(00年からル・テアトル銀座と改称)でスタートし、14年からはEXシアター六本木で上演してきた。「世の中はつらいことも多いけれど、お芝居を見た時だけは笑って、『面白かった』と楽しんでもらいたかった。お客様もたくさん入って、よく笑ってくださった。感謝の気持ちでいっぱいです」。

 「喜劇キュリー夫人」でノーベル賞のキュリー夫人、「マスター・クラス」でオペラ歌手マリア・カラス、「マレーネ」で大女優ディートリヒと多彩な人物を演じた。「女性が主役の作品で、個性の強い人ばかりでした。いい脚本に恵まれ、演出の飯沢匡先生、高橋昌也さんに助けられました」。

 最後となる「ライオン-」は大女優サラ・ベルナールを主人公にした舞台で、97年の初演以来、黒柳は再演を望んでいた。「片足を切断した後に舞台に出る話で、体力的に大変な作品。再演したかったけれど、私に気の毒と、再演がなかったんです。大変ですが、21年前と同じようにやってみようと思います」。

 昨年は8月末に大腿(だいたい)骨を骨折しながら、9月末からの舞台を車いすで演じきった。日本に海外の喜劇作品を根付かせたシリーズはファイナルとなるが、黒柳に舞台をやめる気持ちはない。「舞台のお話があって、やってみたいものであれば」。生涯女優の心意気は健在だ。【林尚之】