先月、急性心不全で亡くなった西城秀樹さんを9年前(09年)にインタビュー取材をしました。最初の脳梗塞で倒れてから6年後のことです。

 脳梗塞の後遺症からうつ病になり、一時は本気で芸能界引退を考えていたそうです。でも「家族のため、子どものため」と懸命にリハビリに励んだことを明かしてくれました。

 病気をきっかけに、命に対する考えが変わったそうです。「アブラムシを見つけても、新聞紙に包んで家の外に逃がしてやるようになったんだ」。

 当時の秀樹さんは54歳。「60歳になった自分を想像してください」と尋ねると、“お約束通り”に「もちろん、ヒデキ、還暦! って言いますよ」と言ってくれました。当時の滑舌(かつぜつ)には、病気の後遺症を感じることがほとんどありませんでした。

 ところが取材から2年後の11年に脳梗塞を再発。その後は、歩行やトークがあきらかに不自由になりました。

 14年にあるイベントに秀樹さんが登場。最初の病気の時に、うつ病になったことや芸能界引退を考えたことについて、他紙の記者があらためて質問をすると、少し声を荒らげて「そんなことはない」と否定しました。自分の体が思うようにならない忸怩(じくじ)たる思いがあり、そこに触れられられたくなかったのだろうと推察しました。

 自分の母や祖母も脳梗塞を患い、長期間にわたる闘病の末に亡くなったので、秀樹さんのことは、すごく気になっていました。「髪の毛を増やすにはプロペシアがいいよ。副作用はほとんどないし、実は芸能界にも服用している人がたくさんいるから」。何でそういう会話になったのか? 09年の取材の最後、私の髪の毛を心配して、真顔でそう助言してくれたことも思い出されます。

 安らかにお眠りください。