歌手前川清(69)が10日、東京・目黒区の「恵比寿ガーデンプレイス」で、50周年記念コンサートを行った。

 友人のコピーライター糸井重里氏(69)が企画。糸井氏は前川のソロデビュー曲「雪列車」や、5月発売の50周年記念曲「初恋」の作詞を手がけている。

 昼夜2公演で約1400人を動員した同公演で歌唱した曲目・曲順は糸井氏が決めた。前川は「自分だったら8割は変えている。2曲目に歌った『すべてを愛して』なんて、あまり好きじゃない…。30年くらい歌っていない曲なのになぜ選んだのか。メロディーを完全に忘れていた」と嘆き節。対照的に、糸井氏は「あらためて全部の曲を聴いて決めました。間違いないです」と笑顔で納得していた。

 前川は「歌が好きでもなく、歌謡曲に興味があったわけでもない」と歌手生活を振り返る。「生活のため、食べるために歌ってきた」。そして「だからこそ、一生懸命にやってきた」と付け加える。その真摯(しんし)さ、正直さや温かい人柄が聴く者の心を50年間、とらえてきた。

 13年に62歳で亡くなった元妻・藤圭子さんの長女宇多田ヒカル(35)の新曲タイトルも、前川と同じく「初恋」。「ビックリしたし、あっ、もうけたと思った。間違って宇多田のファンが買ってくれないかな」とジョークも飛ばして会場を盛り上げた。

 8月19日の誕生日で古希を迎える。最後には「来年の51周年に向かって頑張ります」と誓った。