悪性リンパ腫のため、13日に85歳で亡くなった劇団四季の元代表で演出家、浅利慶太氏とともに、劇団の創立メンバーとして携わってきた照明家の吉井澄雄氏と、劇団四季の吉田智誉樹代表取締役社長が18日、同劇団を通じて、コメントを寄せた。

 吉井氏は「浅利慶太は劇団四季創立65周年の前日に彼岸へ旅立った。65年を超える無二の盟友を失い茫然(ぼうぜん)とするのみである」と哀悼の意を示し、浅利氏の取り組みについては「1955年『演劇の回復のために』をひっさげ既成新劇に挑戦。リアリズムの対極にある、古典的で端正な美しい舞台と、知的で明晰(めいせき)な台詞(せりふ)による演技術を創出し時代を画した」と評した。

 さらに、浅利氏の功績を「舞台のみで生活できる条件をつくり、劇団四季独自の稽古場や劇場群を建設する一方、日生劇場の設立や新国立劇場建設への功績も無視できない。政財界にもまたがる巨大な交友録は、彼の稀有(けう)な出会いの才能と人間力によるもので、演劇界に幅広い視界をもたらした。彼が私に『演劇の扉』を開いてくれなかったら今日の私は存在しない。心からの感謝とともに冥福を祈る」とし、感謝の思いを記した。

 また、現代の四季を率いる吉田社長は「大きな悲しみと喪失感で、言葉もありません。演劇界に真の意味でのプロフェッショナリズムを確立し、数多くの俳優、スタッフを発掘、育成した成果は、日本の劇場文化を大きく発展させました」と、演劇界への貢献に言及。「現在の日本演劇界の隆盛は、浅利先生のお仕事無くしては在り得なかった。劇団四季のメンバー全員にとっても、常に精神的支柱であり続けました。心から感謝と哀悼の意を表したいと思います」とコメントした。