俳優池田努(39)が、舞台「私は世界」(29日まで、東京・赤坂RED/THEATER)で、初の社会派作品、初のジャーナリスト役に挑戦している。池田はこのほど、日刊スポーツの取材に応じ「役者生命をかけて役に入っていかなければならない」と話した。

 劇団ワンツーワークス主宰の古城十忍氏の作、演出。紛争地での取材、日本での貧困問題、自己責任に関わる2つのストーリーが交錯する物語で、池田は長期間拘束中のジャーナリストを演じている。舞台、映像作品含め「ここまでストレートな社会派作品に出るのは初めて」(池田)という。

 池田は「拘束されたジャーナリストの方がいることはニュースなどで知っているので、過酷だとは想像できますが、自分のキャパシティーを超えている役。現実感はとてもつかめなかった」と、振り返る。

 実際に拘束されたジャーナリストの手記や資料を読み込んで、入念に役作りをしていった。「最初は怖かったです。現実と比べて同じ心境になれたかというとNOかもしれませんが、毎回、覚悟を持って演じています。実際に信念を持って取材をしている人がいるわけですから、演じる人物を裏切ってはいけないし、大切にしないといけない」と、真摯(しんし)に取り組む。

 ここ数年、舞台での活躍が目立つ。人気ゲーム原作から、ミュージカル、所属する石原プロモーションで演じてきた刑事など、ジャンルも役も幅広い。

 舞台の魅力について「こんなに無心になれる時間はない。時間の感覚もないくらいです。過去も将来のことも考えない。今を生きているという一番濃い体験ができます。お客さんと感情の交流が生まれた時の充実感、高揚感はすごいです」と語る。

 社会派作品は、上演本数も観劇機会も少なくなっている。池田は「見に来ていただいた方に『こういう演劇を誰かやらないといけない』と言ってくださった。使命感を感じている。興味のない方にこそ見に来てほしいです」。

 23、24、26~28日はアフターイベントもある。

 

 ◆池田努(いけだ・つとむ)1978年(昭53)12月17日、横浜市生まれ。00年オーディション「21世紀の石原裕次郎を探せ!」で芸能界入り。07年から1年間、ニューヨークの俳優養成所アクターズスタジオで演技を学ぶ。舞台は「スーベニア SOUVENIR~騒音の歌姫~」「BIOHAZARD THE Experience」「希望のホシ」シリーズ、「花・虞美人」など。酷暑を乗り切る食べ物は「カレーに勝るものはないです」。180センチ。血液型O。