岩井俊二監督(55)が、95年「Love Letter」のアンサームービー「Last Letter」(来年公開)を製作していることが2日、分かった。主演に松たか子(41)、共演に広瀬すず(20)、神木隆之介(25)、監督の熱望を受けた福山雅治(49)。音楽監督には小林武史氏という豪華布陣で、文通から始まる新たな物語を紡ぐ。

 「スワロウテイル」「リリイ・シュシュのすべて」「花とアリス」「リップヴァンウィンクルの花嫁」…、名作を多数送り出してきた岩井監督の「ベスト盤」が誕生する。「君の名は。」も手掛けたプロデューサーの川村元気氏と長年構想を練り、ようやくこぎ着けた作品。川村氏は「監督作品のいいところを全部入れたい」と話している。

 「Love Letter」は、主人公が亡き恋人へ宛てた手紙が同姓同名の別人女性へ届き、彼女を通して恋人の過去に触れることで立ち直っていくという物語だった。今作も同じく、手紙のすれ違いによって浮き上がる学生時代のラブストーリーと、傷ついた心の再生や成長を描く物語。神木が福山の学生時代にふんし、広瀬は主人公の姉の学生時代とその娘という、一人二役を演じる。

 松は「この作品には切ない気持ちみたいなものがあふれていますが、決して、岩井さんがそれだけを思っているのではないのかも、とも思います。回想シーンがまるで“今”のように描かれていますので、うまくつながっていくといいなと思います」とコメント。岩井監督は「SNSでやりとりできるこの時代に、手紙を使った物語は不可能だと思っていましたが、それを可能にするアイデアを思いついてしまいました」と話しており、ミステリー要素もはらんだ壮大なラブストーリーになりそうだ。

 ◆「Last Letter」 裕里(松)は、姉未咲の死を伝えるため代理出席した同窓会で、初恋の相手鏡史郎(福山)と再会。姉と間違われ連絡先を交換すると、鏡史郎から「君にまだずっと恋してるって言ったら信じますか?」とメッセージが送られてきた。複雑ながらも胸を躍らせた裕里は、夫にばれないよう、住所を書かずに手紙を送付。鏡史郎は卒業アルバムを見て未咲の実家に返信を宛てたが、そこにいたのは未咲の娘、鮎美(広瀬)だった。亡き母の淡い思い出がつづられた手紙に、沈んでいた鮎美の心は再生し、不思議な文通が始まる。