樹木希林さん(享年75)は、映画「万引き家族」など是枝裕和監督(56)作品の常連だった。是枝監督は16日、希林さんから今年3月に、がんが骨に転移したことを知らされていたことなどを明かした。

是枝監督は「僕が希林さんとご一緒したのは、彼女の長いキャリアの中で最後の10年ちょっとに過ぎませんが、監督と役者という関係を超えて、とても濃密な、楽しい時間を共有させていただき、感謝の気持ちでいっぱいです」とのコメントを発表した。

骨への転移を聞いた時のことを、是枝監督は「言葉を失う僕たちスタッフを逆に気遣いながら本人はすぐに終活に入られたようでした」と振り返った。

「万引き家族」の宣伝キャンペーンや、カンヌ映画祭参加、公開初日舞台あいさつをともに行ってきた。是枝監督は「ご自身の中に残ったエネルギーと冷静に向き合い、コントロールされながら、それでも役者の仕事を全うされようとしているその姿勢に頭が下がりました。身体が弱ってからもどこかその、初めての体験を面白がっているようなところがあり、すごみ軽やかさの同居した姿は、神々しくさえありました。最期の瞬間まで、本当に見事な、いかにも希林さんらしい人生の締めくくり方をされたと思います」。

是枝監督は「もう、杉村春子さんや、森繁久弥さんや、久世光彦さんの、モノマネを混じえた楽しいお話をうかがえないのは本当に寂しいですが、心よりご冥福をお祈りいたします。ありがとうございました」と締めくくった。