アイドルグループ「ももいろクローバーZ」主演のミュージカル「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」を見てきた。

当日は記者招待日で、他の公演の記者招待日なら、20人前後の演劇評論家、記者が見に来ているが、今回は見知った顔が2人しかいなかった。アイドルの舞台、そして会場は舞浜アンフィシアターと、都心から遠いこともあって、敬遠した人も多かったのだろうか。

でも、見に行って、正解だった。何も、ももクロファンではない。しかも、今回は「ジュークボックス・ミュージカル」で、ももクロのナンバーを中心に構成されている。だから、ほとんど初めて聴く曲ばかりだった。それでも、楽しめたのは、彼女ら4人のけなげに全力で歌い、踊る姿の「求心力」のせいだろう。

同作の脚本を書いた鈴木聡さんは劇団「ラッパ屋」を主宰し、鶴屋南北戯曲賞なども受賞しているベテラン劇作家。6年前に、ももクロのアルバムを聴いて、ファンとなり、ラッパ屋の公演でも「おじクロ」と題した、おじさんたちがももクロにはまってしまう物語を書いた。だから、今回の舞台も「ももクロ」愛が満ちていて、4人のキャラクターに合わせた人物を造形していた。

そして、感じたのは、ももクロファンのお行儀の良さだった。歌うシーンではサイリュームを振って応援するが、曲が終わって、芝居の場面になると、消して、静かに見入っている。カーテンコールでも、大声を上げるわけでもなく、優しいまなざしで拍手を送っている。ももクロの熱狂的なファンを「モノノフ」と言うらしいが、その言葉に納得した。