今年5月に真打ちに昇進した、女流講談師の神田蘭が来月5日、東京・三越劇場で「真打昇進ふぇすた レビュー講談 上村松園物語」を開催する。女優だったが講談に魅了され、04年1月に神田紅に弟子入り。釈台にとどまることなく、歌あり、踊りありのレビュー講談を披露する。「元々、お芝居をやっていたから、シンプルに語るのも大事だけど、せっかくだから音も使おう、踊りも踊ろうということです」。

上村松園は1875年(明8)に生まれた日本画家。美人画を描き48年に女性として初めて文化勲章を受章した。「日本の女性画家のパイオニア。母親が才能を認めて、画家の道へ進ませた。その生きざまをレビュー講談にします」。ロックバンド、ブルースモークが演奏を担当、プロダンサー近藤智一とダンスを踊り、そして講談にする。

二つ目時代からレビュー講談を始めて8年目。「寄席に出る時は、道具立てがそろってませんから、歌ったり踊ったりはできません。だから、講談界の人も『なんか変なことをやってるな』くらいで、特におとがめはありませんでした」。芸名は自分で付けた。「師匠の紅からは『紅』に『玉』と書いて『ルビー』を勧められたんですが、なんかストリッパーぽかったんで、母音の『あ』の響きがいい『蘭』にしました」と笑う。そして「自分しかできない『神田蘭の講談』を確立したい」と意気込んだ。【小谷野俊哉】

◆神田蘭(かんだ・らん)埼玉県春日部市生まれ。女優岡部厚子として、NHK大河ドラマ「元禄繚乱」などに出演。04年1月、神田紅に弟子入り。08年6月に二つ目、今年5月に真打ち昇進。落語芸術協会所属。特技は日本舞踊(吾妻流)、ヨガ、ジャグリングなど。