宝田明(84)が55年ぶりにミュージカル映画に出るというので、「ダンスウィズミー」の撮影現場を取材した。気さくな大ベテランの姿があった。

宝田が演じたのは、ちょっとインチキくさい催眠術師でマジシャン。宝田は「なぜ僕なのかなあ。(役者の)リストを見ていて、夫婦げんかの腹いせに、あ、こいつでいいかって決めたんじゃないか。撮影が終わったら矢口(史靖)監督に『なぜ僕なんだ』と聞きたい」と笑わせた。

インチキ催眠術師という役どころを楽しんだようで「確かに仲代達矢のイメージにはないな。シェークスピアじゃないもんな」と、さらに笑わせてくれた。

現場では盛んに、共演者やエキストラに話しかける様子が見られた。「お通夜の映画撮ってるんじゃないからね。(エキストラは)どういう風に進んでるか見えない人もいるから説明してあげないと」と、サービス精神たっぷりだった。

終始、軽妙な話だったが、演じることへの強い意欲にも触れた。「催眠術師を演じたのは初めて。私の引き出しの中にそっとしまって、かぎをかけておいておくことはできる。この次の時に使えることはできる」。

ちなみに矢口監督が話した起用理由は「真剣なのに軽快で、脂が抜けていなくてちょっとエッチ。こんな人はいない」。宝田しかいない、とオファーしたそうだ。