歌舞伎俳優中村勘三郎さん(享年57)をしのぶ七回忌追善興行「平成中村座 十一月大歌舞伎」が1日、東京・浅草寺の仮設劇場で初日を迎えた。

夜の部「弥栄芝居賑(いやさかえしばいのにぎわい)」では、生前の舞台映像や照明効果で、勘三郎さんの芝居が目の前で繰り広げられているような演出がされた。「中村屋!」と声がかかり、涙する観客も。長男中村勘九郎(37)は、満員の場内を見て「父の余徳のおかげとしのびつつ、中村屋一同、いつ終わることがあるかも分からぬ芸の道を、精進、切磋琢磨(せっさたくま)したい」と、感謝と誓いを述べた。

勘九郎の2人の息子、勘太郎(7)長三郎(5)も元気にあいさつした。勘太郎は夜の部「舞鶴五條橋」、長三郎は昼の部「源平布引滝 実盛物語」にも出演している。

次男中村七之助(35)は、開場前の儀式「一番太鼓」にも出席、「孫の勘太郎、長三郎が奮闘しているので、父は向こうで『自分が出るはずだった!』と悔しがっていると思います。悔しさを昇華できるよう、熱い熱い舞台を務めたい」と語った。昼の部はほかに「近江のお兼」「江戸みやげ 狐狸狐狸ばなし」、夜の部はほかに「仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場」。26日まで。