シリーズ3年ぶり5作目となるフジテレビ系「剣客商売 手裏剣お秀」(12月21日午後9時放送)に主演する俳優北大路欣也(75)が28日、都内で、取材に応じた。江戸時代、無外流の剣の達人で軽妙洒脱(しゃだつ)に生きる剣客、秋山小兵衛を演じる。女優比嘉愛未(32)が、根岸流手裏剣の達人の女剣士・杉原秀を演じる。作家池波正太郎の原作。

生まれ育った京都の撮影所での時代劇撮影について、北大路は「僕たちは着物は絶対に似合うんだよ。男も女も。ふるさとの京都に行くのはいいですね。時代劇というのはコンクリートのない世界。土でしょう、緑でしょう、山でしょう、空でしょう、水でしょう、本当に自然と対面する時間が長い。非常に心がなごみました。京都の自然の中で育ったのでうれしいですね」と振り返った。

初めて女剣士を演じた比嘉について、北大路は「すごい新鮮。リズム感がよくて、間合いの強弱がうまかった。感心して見ていました」。

撮影の合間には、時代劇の所作を教えたという。「僕だって、最初は何もできなかった。先輩に手取り足取り教えてもらった。昔はすごい先輩が目の前にいて、はかまをはいて、大広間を歩いて、お辞儀をするのができなかった。自然体でやらなきゃいけないから、10代はそれだけ終わりました。『下手くそ』としかる先輩がたくさんいました。パワハラじゃなくて、愛情を持ってしかってくれた」と話した。

40歳以上、年の離れた若い女房のおはるを演じた貫地谷しほり(32)については「六十いくつのおじいさんお面倒を見る難しい役。見事に僕をリードしてくれた。見てるだけで、ほっこりさせてくれる。洗濯しているだけで大好き」とラブコールを送った。

息子の大治郎役の斎藤工(37)は、自身で映画監督も務める。「彼はいろいろなことを勉強しているね。映画のことを聞いてみた。『監督ってどうやるの?』とか『今度、僕の役があったら使ってよ』とか話しました。演じながら、ストーリーや演出のことも考える。そんな感じがあふれていて、すごいな、楽しいだろうなと思いました」と笑顔を見せた。

演じる秋山小兵衛については「こういう大人になりたいなと、秋山さんに憧れています。憧れ、追いつきたいなという気持ちで演じました」。時代劇が地上波のテレビでは、なかなか放送されない現状については「僕の中では、時代劇も、現代劇も、映画も、テレビも、舞台も枠はない。昔はあったけど、今は基本はひとつ」と話した。