大みそかの「第69回NHK紅白歌合戦」(午後7時15分開始)に、北島三郎(82)が出演することが4日、同局から発表された。13年に史上初の50回出場を果たして紅白を卒業してから5年。視聴者の要望を受けての「特別企画」として、平成最後の歌の祭典を名曲「まつり」で盛り上げる。

子どもからお年寄りまで、老若男女に「サブちゃん」の愛称で親しまれる国民的歌手が、5年ぶりに紅白の舞台に帰ってくる。

NHKは、特別出演に至った経緯について「今年『平成最後の紅白』という記念の年に、『やっぱりサブちゃんを紅白で見たい』という期待の声を受け、番組から出演依頼をした」と説明。昭和から平成にかけ、50回を数えた紅白出演で、6回披露してきた代表曲「まつり」を歌唱することが決まった。

13年の紅白引退会見では「いつまでも先輩面をして、後輩の壁になっているのもよくない。1本の線を引きたい」と卒業の決意を語った。だが、自身は出場しなくなっても、年末の大舞台への温かい視線はずっと持ち続けていた。

14年以降も、取材で紅白のことを質問されると「日本の歌い手には必要な舞台」と必要性を強調し「何か力になれることがあれば応援したい」と語り続けてきた。

NHKの発表を受けて、北島は書面でコメントを発表。そこには、紅白を「日本が誇る歌の祭典」と表現。そして「この1年は災害の多い年でした」と振り返り「平成の最後となる今年の紅白に恩返しと新しい時代への希望を胸に、このたび特別企画を引き受けさせていただきました」と素直な心情をつづった。

今年は6月に大阪府北部地震、9月には北海道胆振東部地震が発生。地震だけでなく、台風被害も全国各地で起きた。北海道出身の北島は9月のイベントで「地震も台風も2度と来るな」と声を張り上げ「今は復興の状況を見守っているが、適切なタイミングを見てぜひ励ましたい。応援したい」と誓っていた。5年ぶりの紅白ステージは、被災地復興への思いをテレビを通じて全国に伝える機会にもなる。

そんな北島を支え、特別企画に参加するのが、弟子の北山たけし(44)と大江裕(29)だ。2人は今年8月、北島が名付けた「北島兄弟」というユニット名で「ブラザー」を発売した。北島の次男で、今年2月に死去した大地土子さんが作詞作曲した遺作。ステージでは「時代がめまぐるしく変わっても、負けずに前を向いていこう」というメッセージの込められた同曲を歌唱する。

今年の大みそかは平成最後。「演歌とは生活の歌で人生の応援歌」と定義する演歌の申し子の北島と、その歌魂を継ぐ2人がそろって演歌の心を次世代につなぐステージに立つ。