劇団四季の新作ミュージカル「パリのアメリカ人」(1月20日~3月8日=東京・渋谷の東急シアターオーブ、3月19日~8月11日=横浜・神奈川芸術劇場)で、バレエ出身の石橋杏実(きょうみ)近藤合歓(ねむ)がヒロインのリズ役で出演を予定している。

バレエは石橋が3歳、近藤は小学3年から始めた。石橋は英国のセントラルスクール・オブ・バレエ、近藤はベルリン国立バレエ団に、それぞれ3年間留学。帰国後、石橋は15年のオーディションを受け「オペラ座の怪人」のアンサンブルで四季の初舞台を踏んだ。「中学生の時に『キャッツ』を見て、いつかミュージカルに出たいと思った」。近藤は16年に四季研究所に入り、17年「アンデルセン」のアンサンブルでデビューした。「踊りを生かした舞台に立ちたかった」。

2人にとって、リズ役は初めて手にする大役。同役のオーディション前に足を負傷した石橋は「トーシューズをはくのも厳しかった。でも、無理やりやりました」と執念が実った。近藤も「今までやってきたことを生かすチャンスと思いました」。

11月から本格的稽古が始まった。リズ役は高度なバレエ技術に、確かな歌、演技も求められる。石橋は「課題は山積み。ゼロからのスタートですが、今までにない世界だから、毎日が楽しい」、近藤も「踊りも今までの経験で補えないものもあって、苦戦していると思うけれど、それを楽しんでいる自分がいる。舞台が待ち遠しい」と話した。四季にまた新しいスターが誕生する。【林尚之】

◆「パリのアメリカ人」 ジョージ・ガーシュウインの音楽で知られる同名映画の舞台版。14年にパリで初演後、ブロードウェー、ロンドンで上演。舞台は大戦後のパリ。退役軍人で画家を志すアメリカ人のジェリーは清楚(せいそ)なバレエダンサーのリズに出会い恋をする。2人の関係に戦争が影を落とし、男同士の友情も絡み、深みあるラブストーリーが展開。