落語家桂文枝(75)が26日、大阪・上方落語協会会館で選考委員長を務める「上方落語台本大賞」の入選作品発表会見に出席し、新作落語に求める理想像を語った。

次代に語り継ぎ、将来の古典となりうる作品発掘を目的とする台本大賞。上方落語協会会長の笑福亭仁智(66)、選考委員で作家の木下昌輝氏(44)と出席した。優秀賞にお笑いコンビ、2丁拳銃として活躍する芸人の小堀裕之(44)が書いた「運動会」、兵庫県西宮市の小松繁さん(62)の「口上屋伝吉」が決まったと発表した。他に佳作が2作、審査員特別賞が1作選ばれ、大賞は該当無しとなった。

189作の応募があり、文枝や木下氏を含めた7人で選考が行われた。09年「ハンカチ」に続く2度目の優秀賞受賞となった小堀の作品は、小学校の運動会を巡ってモンスターペアレントな保護者と先生とのコミカルな掛け合いを描いた作品。審査員らの評価は高かったものの、文枝はギャグメインの作風に「漫才ですね」と評価を話した。文枝が思い描く落語は、日常性や普遍性の中に人情味や笑いがあるものと話し、少し非日常的な内容や話のオチである「下げ」の質を評価が下がった理由とした。

現在も創作落語を生み出し続ける文枝は、来年の応募者へ向けたアドバイスを問われ「(落語は)いろんな人の手にわたって練り上がっていく。完成はなく、ゴールのないマラソンを走っているようなものだが、みんながやれるというのは、それだけ良くなっていくということ」。内容についても「やっぱり日常の中にある笑い。そこに人情味があれば。あとは下げ。どうしてもダジャレみたいな下げが多かったので」と、来年の応募作品に期待を込めた。

入選作品発表落語会(19年3月29日、大阪・天満天神繁昌亭)で小堀の「運動会」を披露する仁智会長。応募作へのアドバイスを「(落語の)切り口を大切に。切り口がキッチリしてたらどんな筋ややり方、何でもできる」と着眼点の重要さを伝えた。