20日放送されたNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(日曜午後8時)の第3話に、ようやく明るい兆しを感じました。ビデオリサーチの調べによると、第2話の関東地区の平均視聴率12・0%が第3話では13・2%と1・2ポイントアップしました。今後、人気が上がっていく可能性を感じます。理由は笑いをうまく武器にしている点です。

主人公金栗四三(中村勘九郎)が上京する際、大げさに涙と鼻水を流して見送る兄実次(中村獅童)、古今亭志ん生(ビートたけし)の家族の様子も明るく楽しい雰囲気。また、四三の東京の盟友とされる三島弥彦(生田斗真)とその母和歌子(白石加代子)ら三島家の家族を描く場面でも、随所に笑いをちりばめていました。

大河ドラマで幕末や近現代史を描く場合、視聴者は難しく、分かりにくい印象を持ってしまいがちですが、第3話は笑いを巧みに織り込み、武器にして、視聴者を作品の世界にうまく引き込んでいたのではないでしょうか。

初回は時代が激しく交差し、終盤に登場するような豪華キャストが大勢一気に登場し、とにかく分かりにくい印象でした。初回を見て視聴者が離れたのか第2話の視聴率は関東地区で12・0%と低調でした。NHKは初回の試写を見ている報道陣の反応を見て、笑いが少なくてショックだったと言っていましたが、第3話で、ようやく、NHKが目指す作品を見た気がします。