白石和彌監督(44)の新作映画「麻雀放浪記2020」(4月5日公開)が、マスコミ試写、一般試写を一切行わずに公開されることが6日、分かった。1度も試写を行わずに公開に踏み切るのは、極めて異例だ。

マスコミなど関係者の元にはこの日までに、配給の東映から「諸事情により、この映画は、試写は行いません」と書かれたお知らせはがきが届いた。東映関係者は「『諸事情により』としかお答えできません」としている。

同作の背景は、オリンピック(五輪)が戦争で中止になったという架空の設定。別の関係者は「設定に対して、受け取り方はいろいろある。現状、大きなクレームはありませんが、上映が中止になるような事態を避けたい」と説明している。公開への強い気持ちがあって、あえて試写を行わない決定を下したとみられる。

試写をしないことで、公開前に、新聞や雑誌など映画評が掲載されることもなければ、一般試写を見た観客が感想をSNSに書くこともできない。すべては劇場で見て判断してほしい、という出来上がりへの自信の表れでもあるようだ。先月、国会議員向けの特別試写では賛否両論あったという。

この日までに届いたお知らせはがきには、同作の全体像が記されている。五輪が中止になった日本が、人口減少やAIによる労働環境の激変に直面し、人々はマイナンバーチップを体に埋め込まれて管理社会を生きている。そんな中、「坊や哲」と呼ばれる男が麻雀を武器に日本、時代に挑戦する物語だ。

84年版の映画「麻雀放浪記」にほれぬいた俳優斎藤工(37)が映画化を熱望し、自ら主人公を演じる。