宝塚歌劇団100期生期待のスター、月組の風間柚乃(かざま・ゆの)が2日、兵庫・宝塚大劇場で、月組「夢現無双-吉川英治原作『宮本武蔵』より-」の新人公演に主演した。本拠地では平成最後の新人公演。6年目に入った風間は、昨年2月以来、2度目のセンターに立った。

「剣の道を究めた宮本武蔵は、私たち、終わりのない芸の道と同じ。武蔵を心に宿して演じられるようになりたい」。若手では有数の演技力を誇る風間は、終演後、意を新たにした。

今作は、天下無双の剣豪・宮本武蔵を描き、本公演では、男らしさに定評のある月組トップ珠城(たまき)りょうが好演している。風間は、珠城から「武蔵も(進む道の)答えが見つからず、もがいてもがいて、苦しんだ。人は傷が(自身に)着いて成長していく」と、役作りに悩み抜くことを勧めたという。

刀を両手にもった二刀流、銀橋での立ち回り、ソロ歌唱と、難役をこなした風間は「前回(新人公演主演)は初めてで、みんなに助けられた。今回は、私がみんなを助けたいと思っていましたが、また助けられました」と照れ笑い。仲間との絆も再認識した。

昨年は大作「エリザベート」で、先輩スター暁千星(あかつき・ちせい)と、皇太子ルドルフを役代わり。狂言回しの大役ルキーニも本公演で演じた。ともに劇団での「出世役」を好演。新人学年ながら、堂々とした歌、芝居運び、にじみ出る狂気を巧みに表現し、評価を高めた。

平成に入団し、未来のスターとして順調に成長。本拠地で平成ラストの新人公演に主演し、東京宝塚劇場の新人公演は、新元号「令和」に入った5月16日に控える。

風間は「平成から令和になっても、変わらず、精いっぱい精進して参りたい。でも、もっと強い武蔵を令和ではお見せしたい」と約束した。

また、ヒロインは、男役から転向した天紫珠李(あまし・じゅり)。新人公演初ヒロインを務めた。

本役の新トップ娘役美園さくらにとっては、本拠地お披露目公演でもあり、その美園から「自由に感じたままを演じてほしい。客席から私も一緒に(心で)演じながら応援しているね」と言われたという。先輩の言葉を胸に、無事に終演を迎え「ありがたかったです」と感謝していた。