お笑いタレント博多大吉(48)は、井上陽水(70)と同郷で福岡出身だ。プライベートで食事をするなど親しい間柄で知られる。「陽水さんはもはや歴史上の人物。偉人ですよ」。そうリスペクトをする歌謡界のスーパースターの素顔を、芸人ならではの視点で語った。

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「陽水さんは僕の中では偉人の1人。歴史上の人物的な感じなんですよ」

その陽水に声を掛けられ、親しく交際をしていることについて「トランプ米大統領に呼ばれたくらいの感覚なんです」と表現した。

親しくなったきっかけは13年、陽水の長女の歌手依布サラサ(35)の曲「キャッホー」に、博多弁のセリフを入れてほしいと頼まれた。

「会ってみた第一印象は『デカッ』。180センチくらい身長があるんです。うっすらとしたサングラスをかけているから、最初はブラザートムさんだと思った。『あれっ、陽水さんに呼ばれたのに何でブラザートムさんが出てきたんだろう』と。声を聞いてやっと陽水さんだと分かりました」

その後、赤江珠緒(44)がパーソナリティーのTBSラジオ「たまむすび」で水曜パートナーを務める大吉の“登板日”に陽水が出演。「赤江さんと波長が合ったのか『楽しかった。今度食事でも行こうか』みたいに。そこから食事をするようになったんです」。「陽水会」の始まりだった。

歌手の後輩奥田民生(53)とはいつも居酒屋に行く陽水だが、「陽水会」は都内の高級中華料理店で行うのが定番だ。「紳士として(女性の)赤江さんに気を使っているのではないですか?(笑い)」。

陽水の横顔に迫る。「万華鏡のような方」と表現した。「ヒット曲『少年時代』のことを最初は『みんなが口ずさめるような夏の歌がないから作った』と言っていたんです。しかし、後日、番組で共演した時に、同じ趣旨の話を向けたところ、『だれがそんなことを言ったんだ』と否定するんです。『あれはママさんコーラスをマネしてできた曲だ』と。えっ…。僕が間違っていたことになるのですけど、さすがにこんなうそは思いつかないですよ。どれが本当なのか分からない。初めて会うタイプの方です」

「納得できないけど、納得させられていること」もよくあるという。ある日、陽水が「昨日まで別府にいた」と言うので「どちらにお泊まりでしたか」と軽~く質問。すると「プライバシーを根掘り葉掘り聞くな」と注意をされた。

「多分、本当のことを言うのが嫌いなんだと思うんです。まったく正解が分からない人。でも、だからこそ面白い。おちゃめで気さくで、相当な人見知りなのではないかとみています」

50周年を迎える陽水に伝えたいことがある。

「仕事のペースを落としてほしい」

7日にスタートした全国ツアーは24公演を予定。

「吉本の若手芸人でもそれだけの回数をしません。あなたはこの国の、というか地球の宝。その自覚を持ってほしい。国宝は動かしちゃダメなんですから。体に気を付けてこれからも元気でいてほしい」

1人のファンとして故郷の先輩に心からのエールを送った。【松本久】

◆博多大吉(はかた・だいきち) 1971年(昭46)3月10日、福岡県生まれ。お笑いコンビ「博多華丸・大吉」のツッコミ担当。福岡大で出会った華丸とコンビを結成し、90年に福岡の吉本興業からデビュー。05年に東京進出。14年「THE MANZAI」、15年「IPPONグランプリ」で優勝。NHK情報番組「あさイチ」レギュラー。趣味はプロレス。182センチ、62キロ。血液型O。