2011年3月11日に発生した東日本大震災と福島第1原発事故の被災地・福島で震災直後に撮影された、同年の映画「FUKUSHIMA DAY」の上映会が、平成最後の土曜日となった27日夜、都内で行われた。

上映は、桜井亜美監督が「平成最大の事件」と位置付ける東日本大震災をテーマにした映画を、新元号「令和」に改元されて時代が移り変わろうとしている、このタイミングで上映したいという思いから実現した。また主演の長屋和彰(31)が、日本映画史に残る大ヒットを記録した18年の映画「カメラを止めるな!」(上田慎一郎監督)で神谷和明を演じ、ブレイクしたことで「カメ止め」ファンから「FUKUSHIMA DAY」を再び見たいという声が幾つも寄せられたのも実現を後押しした。

映画は、東京に出て俳優をしている将太(長屋)が震災後、地元福島に帰り、家族と福島、震災と向き合う姿を描く。将太は妹に東京の高校に進学することを勧めたり、家族に放射能の危険性を訴え続けるあまり、福島で生きていくことを決めた家族との間に溝が生じる。そこから家族、福島、そして自分と向き合う将太の姿は、震災から8年がたった今も、解決されない現状にもつながる。

長屋は、撮影当時を振り返り「カメラの前に立ってせりふを口にしたのは初めて。でも、この仕事は嫌だった。震災で得た仕事みたいに思えて申し訳ないという気持ちが強かった」と語った。

この日は長屋と「カメ止め」で共演した大沢真一郎(42)と市原洋(33)も駆け付け“カメ止め3兄弟”が集まり、トークと生寸劇「俳優・桐谷和明のトリセツ」を行った。大沢は12年に上映された東日本大震災をテーマに描いた映画「電話の向こう側」に出演しており「長屋と同じように、真面目に作った映画ですけど、震災のことをどうしても実感できなかった部分があり、ジレンマを感じていた。上映会で、そのことを思い出しました」と語った。

市原は「僕が仕事を辞めて芸能活動を始めようとしたタイミングで震災が起きました。(3・11のたびに)自分の人生のターニングポイントだと感じています」と語った。【村上幸将】