安倍晋三首相(64)が11日、都内で行われた映画「記憶にございません」(三谷幸喜監督、9月13日公開)の試写を鑑賞した。その後、三谷監督(58)と懇談した。

同作は中井貴一(57)演じる、国民から嫌われ、史上最低の支持率をたたき出した総理大臣黒田啓介が、投石で記憶を失ったことをきっかけに理想の政治を取り戻すコメディー作品。

三谷監督から映画の感想を聞かれると「記憶にございません」と笑わせた。総理大臣をやゆするような内容もある。三谷監督の「ムッとしませんでしたか」との問いにも、安倍氏は「ムッとしませんでした」と答え、「もっと悪い黒田を見たかった」と笑いながら続けた。

安倍氏は、映画好きであることも明かした。「総理になってからは映画館には正月くらいしか行けないけど、ビデオでは見ています」とした。「昨日も『運び屋』を見ました。クリント・イーストウッド監督作品が好きです」と話した。

安倍氏と三谷監督が会うのは13年10月、東京国際映画祭のオープニングセレモニー以来約6年ぶりという。今回の試写&懇親は、2日に開催した中井との食事会で、安倍首相がぜひ見たいと興味を示したことから実現した。

安倍首相との懇親を終えた三谷監督は「総理大臣が主人公の作品なので、総理に見てもらえてよかったです」と話した。「ドキッとしたシーンが1カ所あったようですが『どこかは言えない』と言われた。でも、1つでもそんなシーンがあったのはうれしいです」と話した。安倍首相を「政治家って人の話を聞かない人が多い印象がありましたが、真摯(しんし)に耳を傾けてくれる方でした」と語った。