宝塚歌劇団の星組トップ紅(くれない)ゆずる、相手娘役綺咲愛里(きさき・あいり)のトップコンビが13日、東京宝塚劇場で、退団公演「GOD OF STARS-食聖」「エクレール ブリアン」の千秋楽を迎え、退団した。紅は02年に宝塚歌劇団に入団、16年11月にトップに就任した。

前日12日、台風19号の影響で2回公演が中止になった。この日のさよならショーで紅は、持ちキャラである「客席案内係の紅子」として「台風いいかげんしろ! 日本国民に謝れ! 宝塚ファンに謝れ!」と、無念だったファンの思いを言葉にしてみせた。

最後のあいさつ、紅はタカラジェンヌの正装である緑色のはかまで大階段を下りた。同期で元宙組トップの女優朝夏まなとから花を受け取ると、紅は客席を見渡し「とうとう宝塚を旅立つ日がやってきました。宝塚人生のゴールで見えるものがこんなにもきれいなものだとは想像できませんでした。過ごしてきた時間はこのためにあったのかと思います」と、17年間を振り返った。

もともと熱心な宝塚ファン。「1度きりの人生、心が震えるほど愛する場所で過ごすことができた私は幸せ者です」と言い「この場所が起こす奇跡を信じているからこそ、1人では乗り越えられない壁も乗り越えることができました」と、関わってきたすべての人々に感謝を述べた。

最後は目を潤ませ「この美しい宝塚がいつまでもいつまでも永遠でありますように。本当にありがとうございました」と、万感の思いを込めた。

公演後の会見は笑顔いっぱいだった。今後について具体的なことは明言しなかったが「明日から新たな自分と向き合っていきたい」。得意な川柳で気持ちを、と問われ「宝塚 ああ宝塚 宝塚」と宝塚愛を披露した。【小林千穂】