NHKは30日、20年秋から放送する連続テレビ小説が、女優杉咲花(22)が主演を務める「おちょやん」に決まったと発表した。松竹新喜劇に参加し「大阪のお母さん」として親しまれた往年の名女優浪花千栄子をモデルにした作品。

<記者の目>

NHKの連続テレビ小説は、一昔前までは新人女優の登竜門だった。ほぼ無名の若い新人女優がオーディションで選ばれ、NHKの朝ドラで鍛えられ、育てられる。だが、最近はオーディションではなく、演技力も知名度もある女優が起用されるケースが目立つ。杉咲花もそうで、オーディションなしでのヒロイン起用は今回で5作連続となる。

オーディションの手間や労力を省くための働き方改革かとも思えるが「おちょやん」の関係者は「関係ない」と否定した。別のある幹部は「何を描けば今の時代に受け入れられるかを考えた時、そうなってきた」と説明する。平成以降、働く女性が増え、結果的に30代、40代の女性の共感を呼ぶ作品が増えてきたというのだ。作品にもよるが、オーディションで10代のヒロインを選ぶ時代でもなくなってきたのだ。

また、朝ドラは平均視聴率20%台と好調な作品が続いている。新人女優より、演技力と知名度のある女優の起用は、安全策という意味もあると思う。【放送担当=中野由喜】