元ザ・ハンダースの鈴木寿永吉(すえきち=61)が、舞台「『誓い』奇跡のシンガー2019」(12月3~5日、東京・スクエア荏原ひらつかホール)で福島市長役を演じる。元祖アントニオ猪木のものまねで一世を風靡(ふうび)した人気者も還暦をすぎた。舞台にかける思いと、あのことについて聞いてみた。

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「『誓い』奇跡のシンガー2109」は11年3月11日の東日本大震災で母親を亡くした車椅子の歌手の物語。元宝塚娘役の女優玲実くれあと俳優坂本三成のダブル主演。鈴木は、玲実演じる主人公の母親に学生時代にラブレターを送ったことから関わりを持つ。

「自分の役どころは福島市長で人気者なんですが、スケベで、お調子者。でも真面目で、演説シーンもあります」

鈴木の芸能界入りは74年にTBSの夕方の帯バラエティー「ぎんざNOW!」の「素人コメディアン道場」で5週連続で勝ち抜いて優勝したのがきっかけ。75年に歴代優勝者らで結成したザ・ハンダースは、78年に「ハンダースの想い出の渚」で30万枚超のヒットを飛ばした。

「ハンダースの活動は5年。結成して1年もたたないうちに、最年長の小林まさひろさんが脱退。クビ。カラーに合わないっていうことでした。2曲目が『想い出の渚』。デビュー曲は「あなたは見たか!なんちゃっておじさん」って言うんですが、全然売れなかった。『想い出の渚』の時は、もう5人でした。それから3年目くらいで清水さんが抜ける。独立なんですけどね。ナベプロの会議室に呼ばれて、マネジャーやメンバーで話し合った。それで『アキラのことはこっちで考えるから、残り4人でやれ』と。それで4枚目のシングル『ハンダースの友情の歌』を出しました。それは、アパッチけんさんが作詞しました。そういう感じで最終的に4人。そういう感じで1年足らずやって、解散しよう。で、解散するって時に、アゴ(勇)さんは聞いてなかったらしいんですけど、(桜)金造さんが『俺はアゴとやります』と(笑い)。それでアゴ&金造で1年くらい。僕はハンダースをやめた時点で、クビなんだなって思いました。残ってもよかったんだけどフリーという感じで、お世話になったテレビ局を回ってました。その時に、浅井企画の元関根勤さんのマネジャーと会ったら独立していて『どうしたの?』と。ナベプロを辞めてフリーなのであいさつ回りしてると言ったら、『じゃあ、うちくるかい』と、そこの事務所に入れてもらいました」。

ザ・ハンダースが解散した時点で、まだ22歳だった。

(続く)

◆鈴木寿永吉(すずき・すえきち)1958年(昭33)7月3日、横浜市生まれ。本名鈴木末吉。74年TBS「ぎんざNOW!」の「素人コメディアン道場」の2代目王者に。75年ザ・ハンダース結成。78年「ハンダースの想い出の渚」が30万枚超のヒットに。80年解散。その後はものまね番組で、アントニオ猪木のまねなどで活躍。現在は東京・六本木でカラオケ笑パブ「ミリオン」を経営しながら、舞台などで活躍。