師走恒例の歌舞伎、京都・南座「吉例顔見世興行」(12月26日まで)に通算70回の出演を達成した歌舞伎俳優片岡秀太郎(78)を取材した。

上品な言葉遣いに柔らかいしぐさ、優しい笑顔、かわいらしいという表現がぴったりだった。かわいらしさ満載の秀太郎だが、舞台では声量の大きさ、よく通る声が魅力的だ。普段とのギャップに驚く。実は肺気腫を30年にわたって患っているという話にはさらに驚いた。

今回、若手俳優たちへの思いも聞いた。「いつも若い子たちには『波には乗れ、調子に乗るな』って言ってるんです」と話してくれた。口調はやわらかいまま、ユーモアや厳しさを交えた話しぶりに、またしてもギャップ萌えだった。

昨年あたり、引退して後進の指導に専念することも考えたが、求められるうちは舞台に立つことを決めたという。さらに今年は人間国宝にも認定された。そして上方歌舞伎を継承していくことは生涯のテーマだという。「上方歌舞伎の役者を増やしたい」と、シンプルな言葉に力を込めていた。