米映画「ジョーカー」(19年)で怪演し、5日に行われたゴールデン・グローブ賞で主演男優賞を受賞した俳優ホアキン・フェニックス(45)が10日、ワシントンDCで行われた気候変動に関するデモに参加して逮捕された。

複数のメディアによると、フェニックスは女優ジェーン・フォンダが環境保護活動家グレタ・トゥーンベリさん(17)に感銘を受けて昨年10月から毎週金曜日に行ってきた抗議活動「ファイアー・ドリル・フライデーズ(金曜日の火災訓練)」の最終日に俳優マーティン・シーンらと共に参加。「気候変動のために今すぐ私たちができることは、食習慣を変えることだ」と集まった観衆を前に大量の温室効果ガスを排出する肉食をやめるよう訴えた。ファイアー・ドリル・フライデーズの公式ツイッターでは、「あのジョーカーさえも気候変動を信じている!」とツイートしている。

発表によると最後抗議デモには女優スーザン・サランドンやマギー・ギレンホールらセレブを含む約300人が参加。米議会議事堂の階段に座り込んで抗議を続けるデモ隊の一部が、警官の警告に従わずに動かなかったために妨害容疑などで147人が逮捕されたという。

逮捕者の中にはフェニックスとマーティンが含まれており、公務執行妨害で身柄を拘束された後に釈放されたと言う。「食肉、酪農は気候変動の主な要因になっている」と主張するフェニックスは完全菜食主義者として知られており、ゴールデン・グローブ賞授賞式のスピーチでもオーストラリアで猛威をふるう山火事の要因となっている環境問題にも言及していた。

「ジョーカー」の演技が絶賛されているフェニックスは13日に発表されるアカデミー賞ノミネーションで主演男優賞候補入りすることは確実視されており、受賞にも期待が持たれている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)

◆ホアキン・フェニックス 1974年10月28日、プエルトリコ生まれ。86年「スペースキャンプ」で映画デビュー。翌年「ラスキーズ」で初主演。00年「グラディエーター」でアカデミー賞などの助演男優賞にノミネートされ、個性派俳優としてその地位を確立。08年には突然歌手に転向するが、11年「ザ・マスター」で俳優に復帰しベネチア国際映画祭男優賞を受賞。17年「ビューティフル・デイ」でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞。兄は俳優リバー・フェニックス。

◆「ジョーカー」 トッド・フィリップス監督による米スリラー映画。DCコミック「バットマン」に登場するジョーカー誕生の経緯を描く。19年10月4日、日米同時公開。同12月には日本国内の興行収入50億円を突破。また、R指定映画史上初となる全世界興行収入10億ドル(1100億円)突破も記録。ベネチア国際映画祭で金獅子賞受賞。