今月5日、ハリウッドを代表する名優の1人、カーク・ダグラスさんが、103歳で死去。総額8000万ドル(約88億円)に上る遺産のほぼ全額を、自らが設立したチャリティー財団に残したとニューヨーク・ポスト紙が報じた。

ダグラスさんと現在の妻アン・バイデンス・ダグラスさんが1964年に共同で設立した「ダグラス財団」は、夫妻が創立した小児病院や劇場、米セントローレンス大の奨学金などを支援。現在は、妻のアンさんが運営理事を務めているという。

映画「炎の人ゴッホ」(1956)「スパルタカス」(1960)などで知られるダグラスさんは、65年間連れ添った妻のアンさんや4人の子供たちにみとられ、息を引き取った。

ダグラスさんが最初の結婚でもうけたのが長男で俳優のマイケル・ダグラスで、次男は映画プロデューサーのジョエル・ダグラス氏。

1954年に再婚したアンさんとの間にも2人の子供をもうけており、ピーター・ダグラス氏はテレビ・プロデューサーとして活躍。俳優だったエリック・ダグラスさんは2004年、薬物の過剰摂取による事故で死亡している。

長男のマイケル・ダグラスは、1987年に「ウォール街」でアカデミー賞主演男優賞を受賞。数々の映画製作も手がけ、プロデューサーとしても手腕を発揮。総資産3億ドル(約330億円)ともいわれている。

マイケルは父の死について、「カークは充実した人生を送った。映画界に、次の世代に永遠に生き続ける遺産と、世の人々を助けるために尽力した慈善家としての歴史を残した。しかし、僕と兄弟にとっては普通の父親であり、僕の妻や孫、彼の妻にとっては、素晴らしい義理の父、祖父、夫だった」とコメントした。

ダグラスさんは1996年にアカデミー名誉賞を受賞。1981年に大統領自由勲章、1985年にレジオン・ドヌール勲章などを受賞している。アカデミー賞には「チャンピオン」(1949)、「悪人と美女」(1952)、「炎の人ゴッホ」 (1956年)の3作品でノミネートされたが、いずれも受賞に至っていない。(ニューヨーク=鹿目直子)