歌手高橋真梨子(70)の毎年恒例の全国ツアーが、今年で最後になることが3日、分かった。79年から42年連続で開催してきたが、近年は体調不良などもあり「納得するステージを毎回継続していくことが年々厳しくなってきた」という。来年以降の活動は白紙だが引退は否定。まずは6月にスタートするラストツアー初日の埼玉公演に全力を注ぐ。

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高橋は今日4日にファンに発送する会報で、直筆の文書で素直な思いをつづっている。

「2020年をもちまして、しばらくコンサートツアー活動をお休みさせていただくことに致しました。近年は、お客さまの声援に励まされ、自分自身を鼓舞しながら歌をお届けしてきましたが、納得するステージを毎回継続していくことが年々厳しくなりました。そこで一度立ち止まって、歌と向き合ってみたいと思います」

取材に応じた夫で音楽プロデューサーも務めるヘンリー広瀬氏(76)によると「公演が終わると疲れ切って立てなくなるようなこともあった」と説明する。

ペドロ&カプリシャスの2代目ボーカルとして73年に「ジョニィへの伝言」でデビュー。78年に「あなたの空を翔びたい」でソロデビューをした翌年から全国ツアーを毎年欠かさず実施してきた。今年で42年目。「真梨子さんにはステージがすべて。プライベートも含めてすべてを公演のためにかけてきました。『ステージで倒れたら本望』とまで言っていたが、ここ数年は特に体力に自信がないと言っている」。そして「万全じゃないとお客さまに歌を提供できない」という、音楽に対して妥協を許さない高橋の真摯(しんし)な姿勢も今回の決断に影響している。

このまま引退ということはないのか。ヘンリー氏は「1度休んだ後でリスタートを切れるのか、先のことは分かりません。でも、本人は『引退は考えられない』と話しています」と否定。まずは今年6月スタートの全国ツアーで、自身の言葉と音楽でファンに「これまでの感謝の気持ちを伝えたい」と“1公演入魂”に集中するという。

2000人以上収容の大規模ホールで年間25公演以上を42年も続けている女性ソロ歌手は高橋しかいない。来年以降、単発ライブやアルバムなどの作品発表をする可能性ももちろんあるが、2日後に71歳の誕生日を迎える歌姫にとって、今年が大きな節目になることは間違いない。【松本久】

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高橋真梨子は日刊スポーツの読者に、以下のコメントを寄せた。

「毎年足を運んでくれる全国のファンがいる、というありがたい環境にあるのに、そんなファンの皆さんに心から申し訳ない気持ちです」。

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◆公演回数 79年の初ソロコンサート「ひとりあるき」から昨年の「Mari Covers」まで、毎年欠かさずに行ってきた全国ツアーは、昨年までの41年間で2763回を重ねた。今年は33公演を予定。合わせると2796回。これに単発のスペシャルライブが16本、297回のディナーショーを加えると計3109回になる。今年のディナーショーは5、6本を実施する見込み。もし6本だとすると、今年末までの公演数は合計3115回。トータルの動員数は718万人を超える。

◆高橋真梨子(たかはし・まりこ)本名広瀬まり子。1949年(昭24)3月6日、広島県生まれ。プロのジャズ奏者だった父の影響で14歳からジャズを学んだ。72年にペドロ&カプリシャスの2代目ボーカルとなり、「ジョニィへの伝言」「五番街のマリーへ」などがヒット。78年にソロ転向。代表曲に「桃色吐息」「はがゆい唇」「for you…」など。NHK紅白歌合戦に5回出場。血液型A。