俳優石橋蓮司(78)が9日、都内で、18年ぶりの主演映画「一度も撃ってません」(阪本順治監督、4月24日公開)の完成報告会に出席した。

同作は、人生最後の究極のこだわりがかっこいいのか、それとも悪あがきと呼ぶのかを描くハードボイルドコメディー。日本を代表する実力派俳優が共演する豪華作品。その中で石橋は世間のうわさでは伝説のヒットマンだが、実は小説家という市川進を演じる。

「昔のB級作品のようにひっそりと上映されて、ひっそりと評価されて、ひっそりと終わればいいと思っていた」とした。だが「出演者が豪華で。どうやって集めたのか不思議だったけど、おそらく石橋蓮司の遺作だと言ったんだろうね。だから生前葬の感じで、撮影していました。長い間お世話になりました」と会場笑わせた。

主演については「大事にしてくれるわけではないので、ちっとも良いことはなかった。2度とやりたくないですね」とうそぶいた。そんな石橋も最後は「映画はお客さんに見てもらって初めて完成します。ぜひみなさんの力で、1つの映画として成立させてください」とアピールした。

この日、大楠道代、岸部一徳、桃井かおり、佐藤浩市、江口洋介、妻夫木聡、新崎人生、井上真央、渋川清彦、前田亜季、小野武彦、阪本順治監督も登壇した。

本作で石橋が主演を務めた裏には、桃井の存在があった。桃井は阪本監督が原田芳雄さんの遺作となった「大鹿村騒動記」をあげ、「亡くなると分かって撮ったので、まだ生きてるうちに、余力のあるうちにね。そんな流れです」と話した。「これで(石橋が)亡くなったら、阪本監督が撮ったらってなるから、死ねないよ!」と愛のむちを打った。

また、佐藤は息子の寛一郎と共演。「説明せりふが多くてNGを出したら、冷ややかな目で見られた」と明かした。石橋は「僕は三国連太郎さんとも共演したことがあるから、三代に渡って共演したことになるね」と感慨深げに話した。

当初は完成披露舞台あいさつの予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を鑑み、マスコミのみの完成報告会として開催された。