新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、1年程度の延期が決まった東京オリンピック公式映画の監督を務める河瀬直美監督(50)が25日、日本テレビ系「スッキリ」(月~金曜午前8時)に生出演した。同監督は、MCの加藤浩次から、公式記録映画で今回の新型コロナウイルスによる一連の状況を描くかと聞かれ「もちろんですね」と即答。「公式映画として、これは本当に歴史に残るものを私は見詰めている。責任は重大ですが、見詰め続けていくということ」と、あらためて決意を語った。

河瀬監督は前日24日夜、安倍晋三首相と国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長との電話で会談で決まった延期について「最前線で、何か身内のように…その渦中にいながら、見詰めてきて、撮影もしてきているので」と複雑な心情を吐露。その上で「映画で言うと、昨日の発表って、まだ序盤なんだなという印象を受けた」と語った。

26日からは、福島・Jヴィレッジから聖火リレーがスタートする予定だった。河瀬監督は「明日から聖火リレーが始まるということだった。数週間前からアップダウンが激しくて、もう、こうなったり、ああなったり…全て記録はしているので」と、新型コロナウイルスに揺れる組織委員会など、周辺の動きをフィルムに収めていたことを強調した。

河瀬監督は、組織委の森喜朗会長らとともに、19日でギリシャ・アテネで行われる予定だった、聖火の引き継ぎ式に参加予定だったが、見合わせとなっていた。同監督は「私はギリシャにも行くつもりだった、採火式ではなく、引き継ぎ式に森さんたちと一緒に(飛行機に)乗って行くつもりだった。出発が早朝だったので、その数時間前に森さんから直接電話があって、こういう事態になっていると」と、森会長から直接、参加見合わせが伝えられたことを明かした。

その上で「昨日の夕方の時点で、組織委員会の人たちも何がどうなるのか(分かっていなかった)。私たちは福島に今日、行くはずでしたけど、一寸先、分からない事実、ドキュメントなんですよ。だから、指針…ブレない何かが必要」とも語った。そして「最前線で情報をいただいている、公式映画として、これは本当に歴史に残るものを私は見詰めているんだな、目撃者なんだなというふうに思って」と今後への意欲を語った。

公式映画には、新型コロナウイルスに振り回された一連の動きも描く。河瀬監督は「この出来事というのは、本当に皆さんにとって、つらい人もいると思うし」と感染した人々のことをおもんぱかった。その上で「私は、次の1歩をどこに進めるかということを確実に目撃したいと思うし、日本が歴史上、初の出来事を、どう見詰め、どのような形で迎えられるか、公式映画としてローザンヌのIOCに未来永劫(えいごう)、残るものになるので、責任は重大ですけど、見詰め続けるということ」と表情を引き締めた。