尾上菊之助(42)が出演して3月に上演予定だった東京・国立劇場の歌舞伎公演「通し狂言 義経千本桜」が国立劇場公式You Tubeチャンネルで無料公開されており、9日正午までに、3つのプログラム計10万再生回数を突破した。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため全公演が中止になった舞台だが、無観客で収録し、今月6日以降順次公開された。

源平合戦のその後を描いた壮大な物語には3人の主人公(佐藤忠信/源九郎狐、平知盛、いがみの権太)が登場する。3月の公演では菊之助が「3役の完演」をするはずだった。公演を前にした2月の取材会で、菊之助は「3役演じるのは夢でした。これからの10年につながっていく1日1日だと思っている」などと語っていた。

無料配信に際し菊之助は「カメラの向こうにお客様がいらっしゃることを思い描きながら、精いっぱい演じました。再びこの3役を演じる機会をいただき、お客様の前で上演したいと念願しております。1日も早く、新型コロナウイルス感染症が終息し、また歌舞伎を心から楽しんでいただける日が参りますよう願っております」とのコメントを発表している。

日本芸術文化振興会の河村潤子理事長は「映像の形で多くの方々へお届けすることが、いまの国立劇場にとって伝統芸能に貢献する1つの方法」と話している。

物語をいくつかの場面ごとに、A~Cプロに分けている。Aプロは「鳥居前」「渡海屋」「大物浦」。Bプロは「椎の木」「小金吾討死」「鮓屋」、Cプロは「道行初音旅」「河連法眼館」。菊之助の長男尾上丑之助(6)は「大物浦」に出演している。

それぞれ30日午後3時まで無料公開されている。

また、松竹チャンネルでは、「三月花形歌舞伎」(東京・明治座)の中村勘九郎、中村七之助ら出演者の座談会も無料配信中。13日からは「スーパー歌舞伎セカンド『新版 オグリ』」(京都・南座)、17日からは「三月大歌舞伎」(歌舞伎座)の舞台収録映像が配信される。