新型コロナウイルス感染拡大の影響で、テレビ各局は報道や生情報番組以外の収録見合わせが相次ぎ、再開のメドが見えない。収録済み分の放送を終える番組も増え、番組編成をめぐり、それぞれに対策を強いられている。

在阪局では、MBSテレビ(大阪市北区)が真っ先に、バラティーなどの収録を自粛すると公表した。収録済み分の放送を終えれば、総集編放送などに入るが、その編成にあたっては、番組コンセプトを崩さない-など、担当者は知恵を絞っている。

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MBSでは週末朝の生情報番組「せやねん!」(土曜午前9時25分=関西ローカル)が、18日は山中真アナウンサー(43)が1人で番組を進行。他の出演者は楽屋や自宅からリモート出演となった。同局には新型コロナウイルス感染により亡くなった社員もおり、感染拡大への対策強化が強く進んでいる。

同局制作の「戦え!スポーツ内閣」(水曜午後11時56分=関西ローカル)も15日分で収録済み放送分を終え、22日から4週にわたって総集編の放送を決めた。

同番組の総合演出を担当する山本敦之(あつし)氏(35)は、スポーツの「今」を中心に、スポーツの持つ魅力を番組で伝えてきた。そのため、プロ野球開幕も、Jリーグ再開も先が見えない中で、どう番組を作ればいいのか。総集編の制作に頭を悩ませた。

センバツも中止、東京五輪は延期。本来なら放送しているはずの「ネタ」がない。スポーツのニュースがない中、世の中に何を伝えられるか-。何が求められるのか-。政府の緊急事態宣言を受け、外出自粛が続く「今」。山本氏は、視聴者やスポーツファンのニーズを考えたという。

「番組のコンセプトが現役の方を極力お招きして、プレーだったり、詳しく教えてもらうっていうのを第一にやってたので…」

出演者がさまざまなスポーツに挑戦し、活発な姿を見せているロケの映像はふんだんにある。「こんな時だからこそ」ニーズはあるはず。無観客ながらにレース開催を継続する競馬界からは、武豊騎手のコメント映像を放送すると決めた。

「今、スポーツってみんな見たがっているというか、求めてる方も多い。でも実際、スポーツはやっていないので、これまでの名シーンであったり、そういったものを用意させていただいて、少しでも元気になれるような総集編にしたい」

総集編では「陸海空何でもやってみたSP」(22日)「レジェンド武豊SP」(29日)「武井壮生誕SP」(5月6日)「プロ野球選手が選ぶ俺のベストプレー」(同13日)と、この先4週分の概要を決めた。

ただ、現在は5月中の収録再開を見込んではいるが、さらに先送りの可能性もある。再開が中止になった場合は-。

山本氏は「また総集編なのか、どうするかはこれからの議論。まだ全然考えられていないというか…。もちろん総集編ができるときは総集編と思ってるけど、できるところまでって感じ」と語る。

4月の総集編の収録には小杉竜一と武井壮がリモートで出演。山本氏は「リモートで何か、できることが今後出てくれば、企画を考えて対応していきたい」とも話す。見えない敵との闘いはまだまだ続く。【星名希実】