コロナ禍がまた、芸能界に大きな悲しみをもたらした。女優岡江久美子さんが23日午前5時20分、新型コロナウイルスによる肺炎のため、都内の病院で亡くなった。63歳。今月6日に救急搬送され陽性が判明。懸命な治療が施されたが、帰らぬ人となった。昨年末に乳がんと診断され、手術や放射線治療を受け、免疫力が低下していたようだ。夫の俳優大和田獏(69)と長女の女優大和田美帆(36)は悲しみに暮れている。

知性派女優として知られ情報番組の司会も務めた岡江久美子さんが、帰らぬ人となった。いつも明るく元気なイメージだっただけに、家族はもちろん、関係者も大きなショックを受けている。

所属事務所などによると、岡江さんは今月3日に発熱。医師からは4~5日様子をみるように言われていた。ところが6日に容体が急変、都内の大学病院に救急搬送された。ICUで人工呼吸器を装着。PCR検査を受けたところ、新型コロナウイルスの感染が確認され、懸命な治療を受けたが力尽きた。ウイルス感染のため、家族は最期をみとることはできなかった。それでも、関係者によると、遺体とは対面できたようで「とても、きれいな顔をしていた」と語っていたという。

岡江さんは昨年末、初期の乳がんの手術を受けた。健康診断で判明したもので、医師からは「見落としても仕方のない小さなもの」との説明を受け、本人も周囲には「運がよかった」と話していたという。1月末から2月半ばまで放射線治療を受け、その後はファッション関係などの仕事も再開していた。その際には、新型コロナウイルスが感染拡大しており、岡江さんも周囲に「怖いから、気をつけなくっちゃね」と語っていたという。病気療養する中で免疫力が低下していたことが重症化した原因ではないかとみられる。

岡江さんの入院以来、夫の獏と娘の美帆はそれぞれの自宅で外出を自粛。2人は現在、症状はでていないが、ショックがあまりにも大きく、周囲も声をかけられない状態だという。

通夜・葬儀は未定。後日お別れの会を執り行う予定だ。

岡江さんは75年に女優デビュー。78年からNHK「連想ゲーム」のレギュラーを務め、共演していた俳優の獏と結婚した。96年からTBS系情報番組「はなまるマーケット」の司会を薬丸裕英(54)とともに、17年半も務めた。同番組は、TBSがオウム真理教のビデオ事件を起こし、当時のワイドショーが打ち切りに追い込まれた後に編成。いわば背水の陣で臨んだが、岡江さんの持ち前の明るさで、視聴者の支持を得ていった。

同番組終了後は、女優業を中心に、マイペースで仕事を続けていた。帯番組を担当していた時にはいけなかった海外旅行にもでかけ、SNSなどには仲のよい家族像が映っていた。最後の更新は3月20日。テレビ関係者によると、最近は孫の世話が楽しみだったという。

元気がトレードマークの岡江さんだけに、周囲には乳がんも伏せていた。よく知る関係者は「病気のことも伏せて、きれいなまま逝った。岡江さんらしい」と悼んだ。

◆岡江久美子(おかえ・くみこ)1956年(昭31)8月23日、東京都生まれ。75年にTBS系ドラマ「お美津」に主演し芸能界デビュー。78年からはNHKのクイズ番組「連想ゲーム」にレギュラー出演するなど、バラエティー番組でも活躍。83年に同番組で共演の大和田獏と結婚し、同年、長女の美帆を出産。ドラマ「天までとどけ」シリーズなど出演作多数。96年から14年まで17年半、TBS系「はなまるマーケット」の総合司会を務めた。