18年の映画「カメラを止めるな!」の続編として、1日からYouTubeで配信中の約26分の短編映画「カメラを止めるな! リモート大作戦!」(リモ止め)の英語字幕版が急きょ製作され、15日午後6時(日本時間)から世界配信が始まった。世界各国から英語字幕版を求める熱烈な声を受けて、上田慎一郎監督(36)が製作したもので「One Cut of the Dead Mission:Remote」の英語タイトルがつき、本編中のタイトルロゴもインターナショナル版として差し替えられた。

「リモ止め」は、1日午後6時からYouTubeで配信がスタート。配信開始当初の再生回数は3ケタ台にとどまっていたが、そこから5時間が経過した1日午後11時段階で、再生回数は6469回。さらに6時間半が経過した2日午前0時半の時点で、1万230回と再生回数は激増。約12時間後の同日午後0時56分には、上田監督が自身のツイッターで再生回数が5万回突破を報告。勢いは止まらず、同6時時点で再生回数が9万回に上り、一夜明けた2日午後11時43分、再生回数が10万回の大台を突破した。

配信開始から約2週間が経過した15日時点で再生回数は35万回を突破し、1万件以上の高評価、600件以上の感想が寄せられた中、海外からの熱烈な支持の声も多く、上田監督は「カメラを止めるな!」の英語字幕を担当した英国在住の翻訳者に発注し、英語字幕版も完全リモートで一気に製作した。

上田監督は、英語字幕版の世界配信にあたり、コメントを発表した。

「製作中から、本作を国内だけでなく世界中の人に届けたいと思っていました。世界中が同じ脅威と不安にさいなまれている今。これほど世界中が同じ気分を共有していることは、めったにないと思います。さまざまなものが不足している今。世界中で映画もエンターテインメントも不足しています。映画は、エンタメは大きな力を持っています。その力を信じています。人と人が安易に会えない今。飛行機に乗って海を渡ることが難しい今。本作が海を越え、世界中の人たちの気分を少しでも明るくする事ができるよう願っています。これを読んでくれた方、海外にいるご友人、日本にいる外国人のご友人に本作を伝えてくれるとうれしいです。映画よ。エンタメよ。届け、世界に」

「リモ止め」は、「カメ止め」で山奥の廃虚を舞台に37分間ワンシーン・ワンカットでゾンビサバイバル映画を撮影した撮影隊を率いた、映像ディレクター日暮隆之(濱津隆之)が、新型ウイルスの感染拡大で自宅待機を余儀なくされている中、笹原(どんぐり)、古沢(大沢真一郎)両プロデューサーから、再現ドラマの制作を依頼される。笹原から「スタッフキャスト全員、自宅から一歩も出ず、一度も会わず、完全リモートで作ります」と、むちゃぶりな提案をされ、製作に挑むという、まさに新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めが効かない今の日本を描く。

上田監督は、外出自粛が続く人々にエンターテインメントを届けるとともに、物作りが出来ない製作者に仕事を創出するヒントを与えることで「前を向いてもらいたい」と製作を決意。俳優と1度も会わず、オンライン会議システム「Zoom」の通話画面や、俳優がスマートフォンで自撮りした画像を編集する完全リモートで、4月13日の製作発表からわずか18日間で製作、配信までこぎ着けた。1人でも多くの人に見てもらおうと無料配信にした。