落語家桂文枝(76)が11日、「神戸新開地・喜楽館」(神戸市兵庫区)の開館2周年の特別公演に出演した。同館は新型コロナウイルス感染拡大防止のために3月3日から昼席を中止していたが、開館2周年を迎えたこの日、昼席を約4カ月ぶりに復活させた。

トリで登場した名誉館長の文枝が「おいでいただき、ありがとうございます」とあいさつすると、再開を待ちわびた客席からは拍手が起こった。

新型コロナウイルスの感染が増えていることに「神戸は海と山がありますから、本来ならかかりにくいはず」と前置きし、「どなたかがおしゃっていましたね。『諸悪の根源は東京』。だれやったかな~」と兵庫県の井戸敏三知事の“過激発言”をチクリ、地元ネタで笑いを取った。「諸悪は言いすぎたと思う。すべての悪があるわけではない」と異を唱えた。

感染者に若者が多いことに触れ「若い人ならまだしも、私みたいに50歳を過ぎたら…」と自らの年齢を若く表現し、笑いを誘った。今月16日に誕生日を迎える文枝は「あと5日で77歳」と話し、高座では父の米寿祝いに集まった家族の物語となる自作「誕生日」を披露した。

再開にあたり、同館では会場入り口でスタッフが検温を実施。来場者は手指の消毒や兵庫県コロナ追跡システムへ登録を行い、マスクを着用した。座席は左右を開け、212席から88席に減らした。

喜楽館は関西では大阪の天満天神繁昌亭に続く上方落語の定席。文枝が上方落語協会の会長時代に構想し、国や兵庫県、神戸市の助成を受けて建設された。昼席は23日から本格再開する。