欅坂46が16日、初の無観客・完全生配信ライブを行い、5年間の歴史に幕を下ろし、改名して再出発することを発表した。10月に欅坂46としてのラストライブを行う。今年1月に象徴的存在だった平手友梨奈(19)が脱退して半年、「今しかない」タイミングでの、大きな決断。アイドルの枠を超えて幅広いファンを獲得してきたグループが、“呪縛”から解放され、新たに生まれ変わる。

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ライブ終盤、キャプテン菅井友香(24)がスピーチした。「欅坂46は、この5年間の歴史に、幕を閉じます」。息を切らしながら、言葉を続けた。「欅坂46とは、前向きなお別れをします。10月に予定しているラストライブで、欅坂46としての活動に区切りをつけさせていただきます。そして新しいグループ名となり、生まれ変わります!」。欅坂46への思いや、ファンやスタッフへの感謝を伝えると、メンバーたちが次々と目に涙を浮かべた。

「このグループとして、もっともっと強くなるための決断だと、今は前を向いています。これからの私たちに期待していてください!」

その後、欅坂46名義でのラストシングル「誰がその鐘を鳴らすのか?」(8月21日に配信限定リリース)を初披露。初の生配信ライブを締めくくった。

欅坂46は15年8月に結成し、16年4月にシングル「サイレントマジョリティー」でデビュー。メッセージ性の強い楽曲と、クールな世界観のパフォーマンスが話題となり、デビュー1年目からNHK紅白歌合戦に出場するなどブレーク。アイドルファンにとどまらず、さまざまなアーティストから幅広い支持を得た。

一方で、全8シングルでセンターを務めた平手の存在は絶対的で、世間にも強烈なイメージを残した。不在時には別のメンバーがセンターを務めたが、音楽関係者は「魅力的なメンバーが多数いますが、欅坂46といえば一般的には平手さんのイメージが強すぎました。どの曲でパフォーマンスしても、平手さんと比べられてしまう部分があった」と話す。

昨年2月発売の「黒い羊」以降、1年5カ月シングルリリースがない状態が続いた。菅井は「この2年は、特に出口の見えないトンネルをさまよっていたような状態だったと思います。欅坂46を好きだと思えば思うほど、苦しくなり、もっとこうしなければならないと考えれば考えるほど、執着も生まれたと思います」と明かした。イメージと現実とのはざまで、もがいている部分があった。

今年1月に平手が脱退。当初21人だった1期生も13人にまで減った。一方で、18年11月に2期生9人、今年2月に新2期生6人が加入。1期生よりも後輩の方が多い。メンバー28人、生まれ変わるなら「今しかない」タイミングだった。

この日のライブのチケットは約9万人が購入し、推定視聴者は30万人に達した。10月のラストライブが欅坂46としての集大成となる。5年間の確かな歴史をかみしめながらも、欅坂46の“呪縛”からは解放され、今後もアイドルの枠を超えていく。