新型コロナウイルスの影響から、兵庫・宝塚大劇場の花組公演、東京宝塚劇場の星組公演で4カ月ぶりに再開した宝塚歌劇は1日、宙組トップ真風涼帆(まかぜ・すずほ)主演の「FLYING SAPA-フライング サパ-」が、大阪・梅田芸術劇場で幕を開け、約5カ月ぶりに別箱公演も再開した。同劇場公演は11日まで。

未来の水星を舞台にしたSF作品は、上田久美子氏の演出。太陽の活動が弱まったことから水星へ脱出した一部の人類が、新たに国家を形成する様を描く。真風は記憶を消された兵士役で主演。過去4年の記憶しかなく、生きる目的を見いだせない設定。175センチの長身を生かし、ロングコートを着こなして、退廃的な世界観を表現した。

相手娘役の星風まどかは総統の後継者にふんして熱演。2番手スター芹香斗亜(せりか・とあ)は、反政府運動の活動家で精神科医を演じている。

今作は、3月30日に東京・TBS赤坂ACTシアターで開幕予定だったが、直前に中止が決定。劇団が上演スケジュールを見直し、本拠地作の再開を決めた後の6月29日に、新たに梅芸と、東京・日生劇場での上演決定を発表していた。

仕切り直しての上演が決まった際、真風は「(直前中止は)本当に悔しい気持ちでいっぱいでしたが、多くのお客様からいただいた再開への熱いご声援のおかげで、このたび、梅田芸術劇場のみならず、中止となった首都圏でも上演が予定され、率直にうれしく思います」とコメントを寄せていた。

日生劇場では9月6~15日に予定されている。

宝塚歌劇の本拠地作以外の公演は、2月29日から公演中止となった月組トップ珠城りょう主演の名古屋・御園座公演「赤と黒」以来の上演。宝塚歌劇と縁が深い梅田芸術劇場管轄では、2月16日に千秋楽を迎えた月組スター鳳月杏主演のシアター・ドラマシティ公演「デジタル・マジカル・ミュージカル 出島小宇宙戦争」以来となった。