歌手の田原俊彦(59)が5日、76枚目のシングル曲「愛は愛で愛だ」をCDリリースした。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて発売を延期。当初の発売予定だった6月17日から、先行配信していた。

作詞はアイドルポップからアニソンまで幅広く手がけるベテランの岩里祐穂氏。AKBグループに作品を提供する若手音楽ユニット「CHOCOLATE MIX」が作曲を担当するダンスチューン。初回限定版には、ミュージックビデオとメーキング映像を収録したDVDがつく。

田原は日刊スポーツの取材に応じ、50代最後となるシングルへの意気込みを語った。

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田原 来年、還暦だなんて、信じられないよ。20代のころには50歳で引退する、なんて言ってたんだからさ。デビュー40年の節目だった去年は、ミディアムな楽曲だったので、今年は明るくハッピーな曲で行こう、と。初めて仕事をする作家さんだったけど、今の田原俊彦をどう料理するのかな、どんな歌を歌わせたいのかな、とかね。楽しかったね。

-カップリングは「ラストタンゴ イン TOKYO」です

田原 作曲の網倉一也さんは「悲しみ2ヤング」などデビュー当初からの僕をよく知ってくれています。スタンダードなタンゴより少しスピード感を出して、おしゃれな曲に仕上がりました。タップやチャールストン、フラメンコなどさまざまなダンスナンバーを歌ってきたけど、タンゴは初めてなんでね、レッスンを受けて、ステージで見せたいと思っています。

-10代でデビュー、20代で天下を取り、30代で結婚、独立。試行錯誤の40代を経て、復活を印象づけた50代でした

田原 やってることは変わりません。ただテレビの力は大きいなとは思います。50歳になった2011年(平23)にレギュラー番組(爆報!THEフライデー)が始まって、他局でも歌を披露する機会が増えましたね。テレビが入り口になって、コンサートに足を運んでくれた人も多いんじゃないかな。

-ファンが戻ってきている実感はありますか

田原 それは年々、感じています。若いころ、僕のファンだった人たちが、仕事や家庭で多忙だった年代を過ぎて、時間にゆとりが持てるようになった。「久しぶりにトシちゃんのコンサートに行ってみよう」ってこともあるかもしれないね。僕がアイドルだった時代は、来にくかった男性も今は多くなってきた。僕には楽曲という財産があるからね。前奏が流れるだけで、みんな歌えるでしょ。懐かしんでステージを見てると、あの当時よりすごい歌とダンス、進化してる田原俊彦がいる。久しぶりに見て、残念だと思われたくないし、トシちゃんすごい! また来たい!って思わせたいじゃない。それが僕が僕であることの証明だと思ってるんでね。

-芸能界に導いたジャニー喜多川さんが亡くなって1年になります

田原 ジャニーズ事務所を卒業してからの月日の方が長くなりました。でも初めの1歩から育ててもらって、ずっとあの人が見てくれていました、学ぶものは、すべて習得したつもりだし、ジャニーさんのイズムは受け継いでいるつもりです。今も自分でコンサートを作る時に、ジャニーさんだったらどうするだろうって考えている自分がいる。今も「ありがとう」という気持ちは持ち続けています。

-新型コロナの影響でCDリリースは約2カ月延期になっていました

田原 本当に大変だよ。新曲のリリースイベントは中止になるし、コンサートツアーも規模を縮小しました。来年のことも不確実だし、これからは、インターネットへの対応も必要だろうね。サザンオールスターズの無観客ライブは配信で50万人が見たんだって? 僕はあんなにゴージャスにはできないけど、僕なりに見せ方とか、いろいろ考えてます。僕自身、アナログ人間で、デジタルの世界には不慣れなんですけどね。

-確か、まだガラケーをお使いだとか

田原 何バカにしてんだよ、失礼だな(笑い)。スマホに変えて3年だよ。でもね、どんな時代になっても1年1年、1曲1曲が勝負なんでね、挑戦し続けるしかないですね。

-歌とダンスを続けるのは、やはり好きだから

田原 だろうね。僕から歌とダンスを取ったら何も残らないから、やるしかないじゃん。スターになりたくて芸能界に入って、曲がりなりに今まで生きてきた。ついてきてくれたファンのためにも頑張らなきゃと思っています。いつ、誰から声を掛けられても、ベストのパフォーマンスを見せられる田原俊彦でありたい。自粛期間中もストレッチや腹筋してましたよ。

-かなりハードに?

田原 そうだね、週に1回ぐらいかな。ハハハハ。