12年に92歳で亡くなった女優森光子さんに迫るNHK BSプレミアム「森光子生誕100年~放浪記 永遠のメッセージ~」(28日午後10時)で、岡本健一(51)と上白石萌音(22)が生前の森さんの映像とバーチャル共演したことが21日、分かった。

共演したのは森さんが林芙美子役で国内最多の2017回上演した伝説の舞台「放浪記」。岡本は「尾道」の場面で芙美子の初恋の男の香取恭助、上白石は「女給部屋」「渋谷の木賃宿」の場面で芙美子の妹分の悠起を演じた。

岡本は「深川しぐれ」など2本の舞台で共演したが、何十回も見たという「放浪記」では実現しなかった。「次に共演するなら『放浪記』で恭助をやりたいと思っていた。この話を頂いた時は心が震えました」。

共演する映像は森さん61歳の時のもので、その映像を見ながら自主練習を行い、尾道弁もマスターした。7月下旬、帝劇の舞台にブルーバックを設置し収録を行った。「放浪記」の演出家が立ち会い、長年の衣装スタッフが衣装を担当。芙美子役も、森さんの演技をつぶさに見てきた付き人の女優が務め、生前録音した森さんの声が流れた。

「森さんの声に、心が動かされた。舞台に流れる汽笛や電車の音に、森さんと一緒の世界に入れた感じがした。せりふのやりとりもできたし、そこに本当に森さんがいたんです」。6分の場面に、収録は2時間に及んだ。「時空を超えた感動があった。すごくありがたいし、光栄でした」。

森さんの墓をお参りし、「共演」を報告した。「森さんをリアルタイムに見た方も少なくなっている。僕も90歳になって舞台に立っていないと、森さんに失礼だなと思った」と誓った。