18年「万引家族」でカンヌ映画祭の最高賞パルムドールを受賞した是枝裕和監督(58)が、次回作として初の韓国映画「ブローカー」(仮)を手がけることが26日、発表された。

キャストには、19年の同映画祭でパルムドールを受賞した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)に主演したソン・ガンホ(53)のほかカン・ドンウォン(39)、是枝監督の09年「空気人形」に出演したぺ・ドゥナ(40)が決まった。現在、脚本を準備している段階で、2021年にクランクインする予定だ。

「ブローカー(仮)」は、子供を育てられない人が匿名で赤ちゃんを置いていくことができるように用意された“ベビーボックス”を巡って出会った人たちの話を描いた物語だ。是枝監督は「3人の俳優はもとより、今回は尊敬する韓国のキャスト、スタッフの皆さんの胸を借りる気持ちで撮影に臨みます。頭の中で3人の名優を動かしながら、今脚本を書いているところで、僕自身が多分一番ワクワクしております。このワクワクを皆さんに共有していただけるような、スリリングで、ヒリヒリする、それでいて切ない映画にしたいと思っています」とコメントした。

製作の経緯について、是枝監督は「コロナ自粛中に『愛の不時着』や『梨泰院クラス』にハマったからやることになったわけではもちろんなく(ハマったのは事実ですが)、企画のスタートは、今から5年ほど前にさかのぼるかと思います。始まりは、やはり、役者さんでした」と、製作のきっかけは俳優陣との出会いだと語った。その上で「ソン・ガンホさんとは最初は釜山映画祭で、カン・ドンウォンさんは仕事で東京に来た時にお会いして以来、おふたりと、東京や、ソウルや、釜山や、カンヌで交流を続けてきました。最初はごあいさつ程度でしたが、お話を重ねていくうちに、一緒に映画を、という流れに自然と変化していきました」と語った。

そして、ペ・ドゥナについては、09年の「空気人形」で主人公の空気人形のぞみ役で起用した時から、次は人間役で起用することを約束していたと明かした。

「2009年にご一緒してから、『また必ず一緒に、次は人間の役で』と固く誓っていたので、10年越しの夢がかなったことになります。この3人はもとより、今回は尊敬する韓国のキャスト、スタッフの皆さんの胸を借りる気持ちで撮影に臨みます」

是枝監督は19年の映画「真実」で初めてフランスとの国際共同製作で映画を作り上げた。今回の「ブローカー(仮)」は「#生きている」(原題)、「最も普通の恋愛」、「国家が破産する日」、「MASTER/マスター」、「プリースト 悪魔を葬る者」などを製作した韓国の映画社ジップが製作。同監督は「今回は、僕にとっては前作に続いて母国と母国語を離れての映画作りになります。言語や文化の違いを超えて一体何が伝わり、共有出来るのか?そもそも監督とはどういう存在なのか?作品作りを通して、もう少し踏み込んで模索してみたいと思っています」とコメントした。配給は韓国映画界の大手CJエンターテインメントが行い、日本国内の配給は、ギャガが担当する。